下町の商店街のそばにある町家に住む
千本出水は京都の下町です。
ここは、西陣に近く、染物屋、機織り屋を中心にかつては栄えた西陣織の仕事に何らかの形で携わった職人さんたちが多数住む地域です。和服が廃れるとともに、織物業は衰退し、若い働き手は少なく、職人さんたちは高齢者がほとんど。
かつては浅草をしのぐ繁華街であった千本通りの商店街もシャッターを下す店舗があちこちに見られます。とはいえ、何とか踏ん張って商店街の姿をとどめているといったところです。私はこうした商店街のある下町暮らしが気に入り、この長屋に越してくることを決意したわけです。
引越し当日。大家さんに引っ越しの挨拶が必要なお宅について尋ねてみたところ同じ町家に住む4軒とお向かいの1件と教えられました。荷物の整理と掃除が終わったところで、挨拶に行こうと、荷解きを始めたところで、お隣の方が来訪。いきなり、これから、町内会の面々に挨拶に行きます。ついてはこれを持つようにと大きな紙袋を持たされたのです。
住み続けて3代という住民は「おせっかい」……次のページ