タンスに入れる、しまっておく、探す
記憶のメカニズムを理解すれば、思い出すときの手がかりを作っておくことが、暗記力アップの近道だとわかる。
タンスにしまってある服は、増えたり減ったりもしませんし、ましてや無くなったりもしませんね。理論上、一度覚えた記憶(=タンスにしまった服)はなくならないのです。とはいえ、しまってある服もしっかりとメンテナンスをしておかないと、色あせしてしまったり虫に食われてしまったりします。
記憶違いという言葉があるように、覚えたはずの内容が変わってしまうことがあります。一度覚えた内容を、しっかりと記憶にとどめておくプロセスが、「覚えておく」というプロセスです。
さて、デートの時に着ていこうと思っていた服が、タンスのどこを探して見つからない。そんな経験をしたことはありませんか。服をたくさん買えば買うほど、どこにしまったのかがわからなくなってしまいます。この服を探す行為が、記憶における「思い出す」というプロセスにあたります。
どこにしまったのか分からないと、探しようがない!
夏服・冬服構わず、収納ケースに服を押し込めるだけ押し込んだらどうなるでしょうか。確かに、たくさんの服は入ります。しかし、これでは「あの服を着て行こう」と思った時に困ることになります。あらゆる収納ケースをひっくり返して、探さなければならなくなるから。これでは、何のための収納ケースかわかりませんね。収納上手の人は、収納ケースやダンボールなどに、何が入っているのかシールを貼っておいて、わざわざ中身を確認しなくても外からでもわかりやすいようにします。記憶のメカニズムをよく理解している人も、このように思い出すときの手がかりを作っています。ゴロ合わせはその典型例です。
詰め込めば詰め込むほどわからなくなる
記憶の3つのプロセスのうち、ほとんどの人が「覚える(=詰め込む)」ことばかりを意識します。しかし、最も大切なのは、「思い出す」というプロセスなのです。思い出すときのために、整頓してしまっておいたり、何か目印を付けておいたりしないと、ただ闇雲に探さなければなりません。ですから、収納上手の人のような記憶上手になるには、目印の付け方がポイントです。それが、この後、紹介する「頭文字暗記法」です。
次は、「頭文字暗記法」を具体的に紹介していきます。