社会保険

制度拡充!子育て支援制度をフル活用しよう

平成26年4月から子育て支援制度が大きく改正(拡充)されました。皆様の企業でも早速対象従業員へ対応を進めている事業場もあることでしょう。今回の改正は、従業員に直接影響を及ぼす保険料・給付内容なので正確な理解が必要です。本記事で具体的な時系列フローを確認し漏れのないよう対応していきましょう。

小岩 和男

執筆者:小岩 和男

労務管理ガイド

平成26年4月~ 子育て支援制度、大幅拡充!

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産前産後休業期間~育児休業期間中の子育て支援制度が充実されました

今年4月から子育て支援制度が大きく改正(拡充)されました。皆様の企業でも早速対象従業員へ対応を進めている事業場もあることでしょう。次世代育成支援は、国を挙げての一大テーマ。企業と従業員が折半負担している社会保険・雇用保険の財源が子育て支援対策にシフトしていることが分かります。

今回の改正は、従業員に直接影響を及ぼす保険料・給付内容なので正確な理解が必要です。本記事で具体的な時系列フローを確認し漏れのないよう対応していきましょう。なお、関連記事(「出産から復職までの社会保険実務の勘所」)も合わせて確認しておかれると整理が進みます。

■拡充された制度は次の2つ

  1. 産前産後休業期間中の社会保険料免除
  2. 育児休業給付金の支給率引き上げ


平成26年4月~産前産後休業期間中の社会保険料免除開始!

まず前記1.の解説です。平成26年4月から、産前産後休業を取得した場合、育児休業と同様に社会保険料が免除されることになりました。本来、産前産後休業期間と育児休業期間は一体として考えるべき期間といえますよね。この改正(拡充)により、両期間を通じ一貫して免除されることになったのです。対象者への適切な説明と事務処理を確認しておきましょう。

【従来】 
・「社会保険料」負担(+「出産手当金」受給)

産前産後期間中は、収入補てんとして「出産手当金」が支給されています。出産のために仕事を休み給与の支給がない場合、健康保険制度が給与の肩代わりをしてくれる制度です。一方で社会保険料は、給与の支給がない場合でも給与から控除されていました。「保険料」を負担しながら「出産手当金」を受給していたのです。

【今年(平成26年)4月~】
・「社会保険料」免除(+「出産手当金」受給)

今年4月からは、産前産後休業を取得した場合でも育児休業と同じように保険料免除などを受けることができるようになりました。「保険料」の負担なし(免除)で「出産手当金」を受給できるようになったのです。

■留意点
  • 平成26年4月30日以降に産前産後休業が終了する従業員が対象
    (平成26年4月分以降の保険料が対象)
  • 産前産後休業期間中(=産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間)の保険料が免除
■届出書式
「産前産後休業取得者申出書」「産前産後休業取得者変更(終了)届」を確認しておきましょう。

■産前産後休業終了時の標準報酬改定

産前産後休業終了後に報酬(給与)が下がる場合も考えられますね。その場合は産前産後休業終了後の3ヶ月間の報酬額(給与)をもとに、新しい標準報酬月額が決定され、その翌月から改定されます。報酬が下がるわけですから保険料もそれに対応し下がります。この場合は「産前産後休業終了時報酬月額変更届」を提出します。

なお、産前産後休業を終了した日の翌日に引き続いて育児休業を開始した場合は提出できませんので注意してください。

次のページでは、産前産後休業期間中の保険料免除の具体例を解説しています。
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