病欠の場合には、健康保険からの収入補てん制度を活用しよう!

病欠の場合でも、健康保険から収入減少を補う手当金があります

病欠の場合でも、健康保険から収入減少を補う手当金があります

企業が加入している健康保険。一般的に、病気やケガの場合、健康保険を使って療養を受けるというイメージが強いですね。まずは治療を受けることが第一。でも治るまでは通院や入院をしなければなりません。その際は、仕事継続が困難になるケースがありますね。そうすると会社を休むことになり、病気欠勤となって給与支給が無くなります。

従業員にとって、給与は生活をしていくための根幹。困りますよね。実は、この場合、健康保険で「傷病手当金」という制度が用意されているのをご存じでしょうか。この手当金は、なんとカットされた給与を一部補てんしてくれる給付金なのです。健康保険は、治療などの療養費補てん以外に収入の減少に対する補てんもしてくれる、言わば小型の総合保険と言えるのです。

今回の記事では、この手当金の内容、申請方法、留意点などを解説します。意外と間違えた理解があるかもしれません。今回の記事は、実務担当者だけではなく、一般従業員にも広く押さえていただきたい内容です。万が一の際には、もれなく活用していきましょう!
 

どういう場合に傷病手当金が支給されるの?

病気やケガで会社を休む場合の収入減の補てんといっても、どんな場合でも支給されるわけではありません。まずは支給条件の確認をしておきましょう。

1.療養のためであること
病気やケガでの療養で休んだ場合ですが、当然、健康保険の療養を受けている場合は支給されます。

(例外)自費療養や、自宅療養の場合でも支給可能の場合があります
健康保険の療養ではなく自費療養を行った場合や医師や歯科医師の診療を受けない期間(病後静養した期間、医師に療養を受けるまでの期間など)でも、医師の意見書、事業主の証明などがあれば、支給されることもあります。体調が悪い場合、即、医師の診療を受けるわけではありませんから、こうした例外もあることに注意してください。

2.労務に服することが出来ないこと
労務不能という表現、固い言葉ですね。法律用語です。要するに仕事ができない状況下にあることです。医師や歯科医師が、労務不能との医学的基準で判断しても、労務不能であるかどうかは、その従業員が担当している本来の業務に従事できるかどうかを標準として社会通念に基づいて判断されます。

(注意点)半日勤務、配置転換でやや軽い業務に就いた場合に注意!
医師の指示、許可により半日勤務して従前と同じ仕事をしたり、労働時間を短縮することなく配置転換で同じ事業場で、前よりやや軽い仕事に就く場合ってよくありますよね。この場合は支給されないことになっています。こうした状況は「労務不能」とまでは言えない、とされているのです。

3.労務不能の日が継続して3日間(待期期間)あること
労務不能が継続3日とは、どういうことでしょう。前記1及び2の状態が、「継続」して3日あることです。継続ですから、3日が連続していなければならないのです。そして4日目の労務不能日から支給されます。極端な例では、病気欠勤と出勤を1日ごとに繰り返していたりする場合には支給されないので注意してください。

■3日間は、土曜日・日曜日・祝日などの会社休日や有給休暇日も含まれます

(具体例)

次のように会社の休日(土)(日)や有給休暇日があった場合でも、その日に継続して3日間労務不能の状態にあれば、4日目から支給されます。

・労務不能日=4月7日(土・会社休日)、8日(日・会社休日)、9日(月・有給休暇日)この場合は、10日(火)から支給されます。

・労務不能日=4月9日(月・有給休暇日)、10日(火・有給休暇日)、11日(水・有給休暇日)このケースは、待期期間を全て有給休暇で休んだ場合ですね。12日(木)から支給されます。

■労務不能で早退した場合・業務終了後に労務不能になった場合はどうなる?

就業時間中に労務不能になって早退する場合がありますね。この場合、早退した当日は、上記の待期期間の初日とされます。その日に給与支給があったかどうかは問われません。また業務終了後に労務不能となった場合は、翌日から起算して3日間連続で待期期間になります。

■職場に復帰した後、また同じ病気やケガで労務不能の場合、再度待期3日は必要か?

同じ病気やケガの場合は、待期3日は一回完成していればよいことになっています。たとえば同じ病気やケガで労務不能となっても、既に待期3日が完成している場合は、再度待期3日は必要ありません。

4.連続労務不能3日間後、同一の病気やケガで労務不能によって給与支給がないこと
給与の全部または一部が支給される場合は、傷病手当金は支給されません。ただし、給与支給があった場合でも、支給があった給与額が傷病手当金の支給額より少なければ、その差額が支給されます。
 

傷病手当金の支給金額はどのくらい?

【労務不能日1日当たり、社会保険における計算日額の3分の2が支給される】

■傷病手当金の具体的な計算例
標準報酬月額とは、社会保険上の月額給与のことです。支給開始日以前に加入期間が12ヶ月あるか否かで計算方法が変わります。(注)12ヶ月に満たない場合の標準報酬月額の平均額は変更されることがありますので、文末参考資料で確認をお願いします。

下記の事例は、全国健康保険協会HPからの抜粋です。
(分かりやすく言うと月給者の場合、1日当たり日給換算額の3分の2が支給されると言うことです。)
 
病欠中は、健康保険から概ね月給の3分の2が補てんされます

病欠中は、健康保険から概ね月給の3分の2が補てんされます

 

傷病手当金はいつまで支給されるのか?

同一の病気やケガにより労務不能となって、支給を始めた日から起算して1年6ヶ月が限度です。繰り返しになりますが、労務不能となった最初の3日間(待期期間)は支給されません。企業実務上、長丁場に亘る場合では、給与計算の〆日ごとの申請がよいでしょう。休んだ場合の収入ほてんなので、給与と同じサイクルで申請を繰り返すことがポイントです。

(注意)1年6ヶ月のカウントに注意!
実は1年6ヶ月は手当金支給の実日数(1年6ヶ月分)ではありません。この点非常に誤解のあるところです。暦上での1年6か月ということなのです。暦により1年6ヶ月経過すると同一の病気やケガまたこれにより発した病気やケガの傷病手当金は支給されなくなってしまうのです。

この間、職場復帰をした場合でも、また同一の病気やケガ及びこれにより発した疾病が悪化して再び仕事ができなくなった場合には、暦の上で1年6ヶ月の間なら再び支給を受けることができるのです。

(注意)他の病気やケガの場合、完治後の再発の場合は?
支給を受けた病気やケガと関連のない他の病気や負傷にかかった場合や以前の病気が完治しその後再発した場合は、別箇の病気やケガとみなされますので、それに対する待期期間が終了後、新たな支給として申請は可能です。
 

役員でも傷病手当金の支給は可能!

役員だと傷病手当金の支給は受けられない、と思ってはいませんか。健康保険上、役員でも被保険者となることができますから、実は、傷病手当金の要件に合えば支給は可能です。通常の申請では、出勤簿や賃金台帳などをそろえることが求められるのですが、役員の場合は、それがないことがありますね。

その際には、「私傷病による欠勤がある場合は役員報酬を支給しない」旨を取締役会で決議し、その議事録の写しを添付して申請することで支給を受けることができます。小規模事業場では、企業の構成人員が全て役員というケースもありますから、実務上でしっかり押さえておきたい内容ですね。

<関連記事>
社会保険の概要

<関連資料>
傷病手当金の解説(きょうかい健保 東京支部)


■All Aboutで「毎月の家計」について、アンケートを実施中です!
回答いただいた内容をAll About記事企画の参考にさせていただきます
※毎月5名の方にAmazonギフト券1000円分をプレゼント

「毎月の家計についてのアンケート」に回答する


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。