社会保険/社会保険の基礎知識

社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険)の概要

社会保険は、健康保険・介護保険・厚生年金保険に区分されます。健康保険は、一番身近に感じることでしょう。本人だけでなく扶養家族に対する給付も多くあります。漏れのないように手続きしていきましょう。

小岩 和男

執筆者:小岩 和男

労務管理ガイド

健康保険とは

健康保険は、病気やケガで休業中の収入低下を補填する給付金もあります

健康保険は、病気やケガで休業中の収入低下を補填する給付金もあります

健康保険は、全国健康保険協会または健康保険組合が運営している制度です。民間会社の役員、従業員にとって一番身近に感じる制度でしょう。いわゆる保険証といっているものは、健康保険被保険者証です。

労災保険が、業務上・通勤途中の災害を対象としているのに対して、従業員やその家族の業務外(私的)の病気やケガ、死亡、出産に関する給付がその内容です。

一般的に病院等で通院、入院をした場合、保険証提示で一定額を負担して治療してもらうイメージをお持ちでしょう。実はそれ以外に入院時の収入補填などの給付があったり、毎月の一部負担額が多額になった場合でも負担額には打ち止め額があることをご存知でしょうか。内容を知ることで、健康保険の恩恵がいかにあるのか実感することができます。

健康保険の給付内容

健康保険の給付は、従業員本人とその扶養家族が対象です。病院等での療養だけではない幅広い給付内容です。

■療養の給付
病院等で一部負担金を3割支払って、健康保険被保険者証を提示して療養を受けることです。これが、健康保険給付の代表的イメージでしょう。扶養家族には、家族療養費という名称で給付されます。

■療養費
健康保険が適用できない病院などで療養を受けた場合、海外で療養を受けた場合などは、とりあえず自分で療養費を立て替えます。後日療養費として現金が支給される制度です。扶養家族には、家族療養費という名称で給付。

■入院時食事療養費
入院したときの食事療養費です。1食につき所定の負担額を徴収して食事が提供されます。扶養家族には、家族療養費という名称で給付。

■入院時生活療養費
65歳以上の従業員が介護等のため療養病床に入院したとき、所定の負担額を徴収して食費や療養環境(水光熱費など)に要した費用が支給されます。扶養家族には、家族療養費という名称で給付。

■保険外併用療養費
保険対象外の高度な療養を受けたときでも、保険の対象となる部分について支給されます。扶養家族には、家族療養費という名称で給付。

■訪問看護療養費  
従業員が訪問看護ステーションからの訪問看護を受けたとき。扶養家族には、家族訪問看護療養費という名称で給付。

■移送費
従業員がやむを得ず病院などに移送されたとき。家族には、家族移送費として支給。

■高額療養費・高額介護合算療養費
従業員とその扶養家族の1ヶ月の自己負担額が一定額を超えた場合、また健康保険と介護保険の1年間の自己負担合計額が一定額を超えた場合に超えた額を支給。自己負担額に上限があることで負担の軽減が図られています。

■傷病手当金
従業員が病気やけがで会社を休んだときの収入補填金です。この手当金があることで生活費が、一定期間補填されますから収入が途絶えることはありません。病気やケガの治療はもちろん大切ですが、収入がなくなると生活はできません。健康保険は、収入低下のリスクも救ってくれるのです。

■埋葬料(費)
従業員が亡くなったときに所定額を支給。家族には、家族葬祭料として支給。

■出産育児一時金
従業員が出産したとき所定額を支給。家族は家族出産育児一時金として支給。

■出産手当金
従業員が出産するため、産前産後の期間会社を休んだときの収入補填金です。この手当金があることで、生活費が一定期間補填されますから収入が途絶えることはありません。前記の傷病手当金同様、健康保険は出産前後の収入低下のリスクも救ってくれるのです。

<関連資料>
健康保険の給付内容
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