激しい感情の表出を叱り続けると?
「大人しい良い子」が心に抱える問題とは?
3歳くらいまでの子が激しい感情を表出するのは自然なことであり、「自分の気持ちに素直になっていい」という自己肯定感と、「他者に気持ちを伝えていい」という積極的な対人関係を身につけるためにも必要なことです。
ところが、「うるさい!」「わがまま言わないの!」と怒鳴られ叩かれて、無理やり制止され続けると、「素直に感じてはいけない」「気持ちを伝えてはいけない」と思い込んでしまいます。また「どうして我慢できないの!?」「何度言ったら分かるの!?」と問い詰めても、まだ物事を理性的に判断できるベースができていないのですから、意味がありません。こうした怒り方をしていると、「思ったことを素直に言うと、訳の分からないことを言われて怒られる」と萎縮してしまいます。
このような子どもは、一見「大人しい良い子」に見えますが、心の内では気持ちを抑圧した苦しみを抱え、後々になって心の病気や不適応行動として現れてしまうことも少なくありません。
感情的になる子に必要な「大人の対応」
感情を受け止め合う「大人の対応」は誰にでも必要
これは、子どもの要求をまるごと飲むことではありません。「欲しいものがすべて自分のものになるわけではない」「泣き叫べば希望が通るわけではない」というあきらめや我慢を、感情を受け止めてもらいながら、経験させることなのです。
爆発的な感情が露わになっても、受け止めてくれる人がいることで感情が落ち着きます。こうして、感情に振り回される幼さから一歩成長すれば、社会の中で人と協力しながらうまくやっていくことができるようになります。そのために必要なのが、この子どもの欲望や衝動を受け止める「大人の対応」なのです。
ちなみに、こうした「大人の対応」は、幼い子どもだけに必要なのではありません。学齢期や思春期の子にも、そして、大人同士でも必要です。不安や恐怖が煽られたり、怒りが湧き出て感情的になってしまうことは、誰にでもあります。でも、そうした感情が受け止められ、理解されると、感情はすっと落ち着き、冷静に物事を考えられるようになるのです。ぜひ、年齢を問わず身近な人同士で感情を受け止め合ってみてください。