土地代や家賃は非課税だが、新築の建物は課税される
住宅を買ったり借りたりするときのお金には、消費税がかかるものとかからないものがあります。まず住宅価格のうち建物価格は課税対象ですが、土地代には課税されません。また売主が個人の中古住宅の場合は、建物価格も課税の対象外です。このほか住宅を買うときの諸費用では、仲介手数料や住宅ローンの事務手数料は課税されますが、税金や保険料、保証料は非課税。入居後に支払う住宅ローンの返済額やマンションの管理費・修繕積立金も課税されません。
一方、賃貸ではまず家賃が非課税です。ほかに敷金や礼金、入居後の共益費や更新料も課税されません。消費税がかかる費用としては仲介手数料があります。
こうしてみると、新築住宅の場合は建物価格に消費税がかかるので、家賃が非課税の賃貸に比べて不利なように感じるかもしれません。なにしろ建物価格は金額が大きいので、消費税が5%でも数十万円から100万円以上かかる場合もあるのです。ましてや消費税率が8%や10%となるとさらに負担が重くなるので、「やっぱり賃貸がいい」と考える人が増えるのも無理からぬことでしょう。
住宅ローンの返済が終わると購入の住居費は大幅ダウン
では、購入と賃貸ではどちらの負担が軽いのでしょうか。まずは消費税5%の場合で比較してみましょう。購入については税抜き価格4000万円でそのうち建物価格2000万円の新築マンションを、頭金500万円で買うケースを考えてみます。消費税5%の場合の税込み価格は4100万円なので、頭金の残りを住宅ローンで借りるとすると、金利2%・35年返済として毎月返済額は約12万円です。そこで賃貸については家賃と共益費を合わせて12万円の住宅を借りるケースを想定しました。
まず入居時にかかる費用ですが、購入は頭金に加えて諸費用が価格の5%程度かかるので、合わせて705万円です。これに対し、賃貸は敷金や仲介手数料が家賃3カ月分とすると33万円となり、購入よりも圧倒的に軽い負担で済みます。なお、購入も賃貸も手数料などにかかる消費税は金額が小さいので計算に含めていません。
入居後の費用を比べると、30年目までは購入のほうが住宅ローンの返済以外に管理費や修繕積立金、固定資産税などがかかるため、賃貸より500万円以上負担が重くなります。しかしその後50年目までを比較すると、購入は35年目まででローンの返済が終わり、賃貸はずっと家賃の支払いが続くので、賃貸のほうが2倍以上の負担です。
その結果、50年間トータルの住居費では賃貸のほうが480万円ほど負担が重い計算になりました。
図表1