労務管理/労務管理に関する法律

労使協定(合意)による職場ルールの決め方!(2ページ目)

読者の皆様は、職場の労働条件と言うと、即「就業規則」を思い浮かべられることでしょう。でも実はやっかいなことに、「就業規則」単独では不十分。なぜでしょう? 就業規則のルール実施には、「労使協定」とセットでなければ実施できないものがあるからなのです。今回の記事でどのような「労使協定」があるのか整理し、欠如している場合は即対応をしておきましょう。

小岩 和男

執筆者:小岩 和男

労務管理ガイド


「就業規則」と「労使協定」はセットで考える!

「労使協定」は労働組合又は過半数代表者と使用者で締結します

「労使協定」は労働組合又は過半数代表者と使用者で締結します

前ページの労働基準法第2条(労働条件の決定)には、今回のテーマ「労使協定」は登場しませんでした。なぜでしょう?「労使協定」単独では、原則として労働条件の決定には直接影響を及ぼさない(労働契約としての効果をもたらさない)からなのです(一部例外あり)。「労使協定」は就業規則を補完する役割を負っているのです。

「労使協定」は簡単に言うと、上記の3形態の遵守内容以外に交わされる、労使間の取り決めごとです。ルール集と言うより、個別労働条件ごとに取り交わされる取り決めごとと言った方が分かりやすいですね。昨今は労組の組織率が非常に低下していますから、後者(2)の形態が多いことでしょう。

・労使協定(労働組合又は過半数代表者と使用者間の取り決め)
(1)事業場の労働者の過半数で組織される労働組合がある場合にはその労働組合
(2)労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数代表者
と使用者の間で締結する書面による協定のことを言います(これを一般的に「労使協定」と呼称)。


「労使協定」には、免罰的効果があります!

「労使協定」を締結すると、免罰的効果をもたらします。難しい表現ですね。要は、法定の規制を解除されたり罰則を免れる(法定の禁止事項を解除できる)ということです。逆に言うと、「労使協定」がないと違反になってしまうのです。

(例)時間外・休日労働協定(36協定)
法定の労働時間を超える労働は労働基準法で禁止されていますが、時間外労働・休日労働に関する協定(=労使協定(36協定))を締結・届け出た場合は、制限が解除される(罰則を免れる=合法)ことになります。この例は皆様一番なじみがある「労使協定」でしょう。就業規則等による、時間外・休日労働をされることがある旨の記載と当該「労使協定」のセットで完結です。

(例)以外にも、労働基準法、育児介護休業法、高年齢者雇用安定法等で定められた制限事項は「労使協定」で解除できます。次ページで一つ一つ確認してみてください。


「労使協定」は必ず周知しておきましょう!

(法令等の周知義務)
労使協定は、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付すること等の方法によって、労働者に周知させなければならないとされています(労働基準法第106条1項)。就業規則の周知だけでは不十分、「労使協定」の周知も欠かせません。セットという事を忘れてはなりません。
次のページでは、労働関係諸法令の主な「労使協定」を解説しています。
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