介護・福祉業界で働く・転職する

新しくなった「初任者研修」のポイントと学校の選び方(3ページ目)

平成25年4月から資格制度が変更となり、新たに「介護職員初任者研修」がスタートしてから1年が経ちました。学校関係者からのヒアリングをもとに、新カリキュラムの内容や工夫点、受講生にとってのポイント、学校の選び方をお伝えします。

井上 ルミ子

執筆者:井上 ルミ子

介護・福祉業界で働く・転職するガイド

受講のメリット

冒頭にお伝えしたように、今後の福祉業界が目指す介護福祉士像を見据えたカリキュラムとなっている初任者研修。ここで学んだ基礎を実際の介護現場で実践し、現場経験を培ってから実務者研修に臨むことで、研修内容への理解がより深まるような流れになっています。

また、初任者研修最終講義には4時間の「振り返り」が設けられています。ここでは、研修を通じて学んだことはもちろん、就業後も継続して学ぶべき視点をおさえていきます。初任者研修を修了して終わりではなく、ここからが始まりであることが再確認できるでしょう。そうすることで、単に経験年数だけを積み重ねるのではなく、3年先、5年先を視野に入れることで、日々の現場を学習の機会と捉えていくことが可能となります。

さらに、初任者研修から筆記試験が導入されました。試験と聞くとアレルギーを感じる方もいらっしゃいますが、物は考えよう。決して安くはない受講料と大切な時間を使って講義に参加する目的は、介護の基本を身に付けたいからです。試験とは学習した内容をどれだけ理解しているかを把握し、理解できていない内容を見極めるための方法なのです。理解できていない範囲が多い場合は、補講で再チャレンジする機会も設けられています。落す試験ではなく、理解を確認する試験です。フォローして下さる講師がいる間に、自分の実力を上げていけるチャンスだと捉えて下さい。

また、これも冒頭でお伝えしましたが、研修カリキュラムとして、他者と交流できる学習スタイルが取り入れられるようになりました。研修で大切なことは、何かを身に付けるだけでなく、誰かの考えを聞き、比較、共感しながら自分の意見を確立していく相互理解です。研修を通じてさまざまな人と交流できる絶好のチャンスだと思います。

学校を選ぶ際のポイント

情報収集

研修を選ぶポイントは人それぞれです。

当然最初に思い浮かぶのは、受講料や通学条件です。受講料が安いとありがたいですし、通うことを考えるとアクセスの良さは選ぶ基準の一つになるでしょう。しかし一番大切な点は、「学んだことが身に付くかどうか」です。

その最大の要となるのは、担当する講師の指導力です。おそらくそれを意識している講師は、自身が担当する講義コンテンツを工夫され、受講者の興味をそらさない努力をされていると思います。また学校としても、講師への教育に力を入れたり、日頃からコンテンツを見直す時間を設けていらっしゃるでしょう。受講前にそれらを見極めることは難しいですが、その点を大切だと捉えている学校は、媒体を通じて講師の人となりを伝える努力をされています。なるべく事前に、受講を検討している講師陣のプロフィールや教育への考えなど、ホームページ、パンフレット、電話等で確認しておくと良いでしょう。

事前説明会に参加すると、より具体的な説明がなされ、些細な疑問点にも答えてくれます。また無料体験受講で実際の授業を受けてみると、講義が分かりやすいのか、講師の熱意が伝わってくるのかなど、自身の受講意欲を感じ取ることができます。

グループ単位での実技講習の場合、5~6人程度が、適度に順番がまわってくる効果的な単位だと思います。しかしグループあたりの人数が少ないほどベッドや場所が必要となるため、受講料が高くなりがちです。受講者が選びやすい豊富なスクーリング日程を提供しているかどうかも含め、内容の充実度や利便性と価格のバランスを考えた選択が必要です。

学校によっては、オプションメニューとして実習希望者の要望に応える体制をとっているところもあります。また修了後もその学校が開催するセミナーなどに無料もしくは会員価格で参加できるなど、継続学習をフォローする体制があるかどうかも一つのポイントになってきます。

とはいえ人それぞれ選ぶ基準や捉える価値は違います。自分にあった学校を選び、介護の第一歩を踏み出して下さい。
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