ベルギー/ブリュッセル

ブルージュの美術館・博物館(2ページ目)

ブルージュの別名は「天井のない美術館」―その名の通り、歴史的な、そして、現代ベルギーを象徴するさまざまなミュージアムがあります。雨が多く、冬の長いベルギー。興味と気分の赴くままに、好みのミュージアムを訪ねて見るのも、ブルージュの楽しみ方のひとつです。

栗田 路子

執筆者:栗田 路子

ベルギーガイド

フルートフーズ・ミュージアム

中世富豪の生活を覗き見る

フルートフーズ博物館

聖母教会の角を曲り、廊下で続いている瀟洒な建物が、フルートフーズ・ミュージアム。15世紀、ここブルージュの桁違いの大富豪を代表するフルートフーズ家の邸宅をミュージアムとしたものです。当時、盛んに造られていた地ビールには、ホップに先立ついくつかの香草が「フルート」が使われていたのですが、その販売で財産をなした一族が、その名もフルートフーズ家となったのです。

熱心なキリスト教であったことから、聖母教会に大規模な寄進をし、母屋のチャペルを通して聖母教会に直接つなげられたのです。日本にもかつて、巨大な仏間を持っていたり、母屋から菩提寺につながるように建てられた名家があったりしますが、それに似ていますね。また、邸宅専用の巨大な井戸の塔、膨大な写本のコレクションなどからも、当時の桁外れな富豪の生活ぶりと宗教への帰依を垣間見ることができます。

<DATA>
Gruuthuusemuseum (フルートフーズ・ミュージアム)
住所:Dijver 17
開館時間:火~日曜9:30~17:00 
休館日:月曜(ただし、復活祭と昇天祭の月曜は開館)、1月1日、9月5日の午後、12月25日
入場料:8ユーロ、65歳以上と25歳以下6ユーロ、12歳以下無料

聖ヨハネ病院跡(別名メムリンク・美術館とも)

道を挟んで聖母教会と向かあい、運河沿いに奥深く建つのが、ヨーロッパ最古の病院のひとつ聖ヨハネ病院の建物。1150年から1876年まで、実に8世紀に渡って、病院として使われていましたが、現在では、美術館となり、メムリンクの名画がいくつもあることから、別称メムリンク美術館となっています。

ハンス・メムリンク(15世紀)は、初期フランドル派、第3世代の画家。現在のドイツ・フランクフルト近郊で生まれ、ケルン、ブリュッセルで修業した後、市民権を得てブルージュに住み着きました。当時は、長者番付第1位になるほどの売れっ子画家だったとか。

初期フランドル派の画家は、日本ではあまり知られていないかもしれません。というのも、オーク材に描かれたその作品は湿気をきらうため、日本ではなかなか展覧会が開かれにくいこと、そして、日本には専門家が極めて少ないことが理由のようです。

しかし、オーク材のパネルに描く油絵の技法を確立し、聖人を市民の生活の中に生き生きと登場させる図法は、西洋美術史上、きわめて重要とされています。彼らによって描きこまれた絨毯は、当時の裕福な市民の間で流行していたものだそうです。また、フランドル派の画家達は、額縁も絵画の一部として使ったのですが、メムリンクは肖像画の人物がその額に手を置くように描くというオリジナルな手法を考案し、これによって絵に奥行きを与えることに成功したとされています。

ヨハネ病院には、寄進されたメムリンクの絵がいくつか残っていたことから、これらの絵を見るために、たとえばゲーテ(18世紀)など、欧州の著名人の多くが、この病院を訪れたとのことです。

このミュージアム所蔵の『聖ウルスラの遺物箱』は、ブルージュの街の宝と言われています。この美術館には、中世の手術や施療に使われた機具やその様子を描いた絵など、ちょっとおぞましいものも展示されているので、お子さんや怖がりの方には要注意かもしれません……。

<DATA>
Sint-Janshospitaal 聖ヨハネ病院跡(メムリンク美術館)
住所:Mariastraat 38
開館時間:火~日曜 9:30~17:00 
休館日:月曜(ただし、復活祭と昇天祭の月曜は開館)、1月1日、9月5日の午後、12月25日
入場料:8ユーロ、65歳以上と25歳以下6ユーロ、12歳以下無料
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