ネロ少年が夢見た名画を収蔵! 昼も夜も美しい、聖母大聖堂

123 mètresの優美な塔が町を見下ろす

123 mètresの優美な塔が町を見下ろす

昼も夜も美しい聖母大聖堂©Toerisme Antwerpen

昼も夜も美しい聖母大聖堂©Toerisme Antwerpen

1352年に着手され180年をかけ建立されたブラバンド•ゴシック様式の大聖堂。当初は複数の塔が立つ予定でしたが、大火事がもとで資金が不足……。計画は頓挫し塔は1本のみになりました。

とはいえネーデルランド最大級の大聖堂として、今も貫禄は十分過ぎるほど! 123メートルの高さの優美な塔は町のランドマーク的存在です。鐘楼は05年に世界遺産にも指定。そんな見事な外観に満足してしまい、内観を見ずに町を立ち去ってしまうことのないようにしてくださいね。

 

大聖堂の主役『マリア被昇天』

大聖堂の主役『マリア被昇天』

やはり必見なのは巨匠ルーベンスの傑作群。『キリストの降架』(1614)『キリスト昇架』(1610)『キリストの復活』(1612)『マリア被昇天』(1626)の計4枚が贅沢に飾られます。大聖堂の主役である主祭壇の『マリア被昇天』は、ネロ少年がまだ見ぬ母の面影を重ねたという聖母マリアが、恍惚の表情で天に召される様が描かれます。またクリスマスの夜にネロ少年が愛犬パトラッシュとともに息絶えたのは、『マリア被昇天』の横にある祭壇画『キリストの降架』の前でした。

かつて聖堂内では、『キリストの降架』と『キリスト昇架』の両作品の前に厚いカーテンが覆われており、銀貨を払った人だけに公開が許されていました。物語の中でもネロは「きっとルーベンスは、貧しい人に絵を見せたくないなんて思わなかったはずなのに」と悲しみます。『フランダースの犬』の原作者である英国の女性作家ウィーダは、実際に前世紀中盤まで行われていたこの悪しき習慣を、物語の中でネロ少年を通しさりげなく告発しているのです。

 

彫刻が見事な木の説教台

彫刻が見事な木の説教台

貧しいネロ少年には当然銀貨など払えるはずもなく、ルーベンス作品への憧れを一層つのらせていきました。そして彼が実際に作品を見た時には……、あぁ、涙、涙。一方現代の幸運な私たちは、ネロくんにちょっと申し訳なくはありますが、巨匠の作品をずっと手軽に見られるというわけです。ならば心の底までその幸福をかみしめたいもの。

7身廊と125の柱を持ち、バロックとネオクラシック様式が絶妙に混在する大聖堂内部は、他にも宗教芸術の傑作を多く所蔵します。教会なのに入館料がやや高め(5ユーロ)なのは、そこらの美術館顔負けの品揃えだからとも言えるでしょう。

避けては通れないのが、聖堂中央にある柏の木でできた「真実の説教台」。ベルギーの教会にはこのような木の説教台が多く見受けれられますが、中でも本作はバロック風の彫刻が見事な国を代表する傑作です。1713年に作られたもので、当時知られていた4大陸へのキリスト教の布教をテーマにしています。鳥やリスたちさえも説教に耳を傾けます。

 

神戸にレプリカが贈られた聖母子像

神戸にレプリカが贈られた聖母子像

また「アントワープの聖母」と呼ばれる16世紀の木製のマリア像は、美しい衣装の数々で定評が。定期的に衣装を変え観光客を魅了します。同じく「聖母」でも特に日本と関わりの深いのが、14世紀に作られた白い大理石の「聖母子の像」。こちらは阪神大震災の後、同じ像のレプリカが神戸のカトリック教会に寄贈されました。

他にもフィリップ善良公を描いた16世紀のステンドグラス、3人の有名彫刻家による共作の17世紀のパイプオルガン(運が良ければ演奏も聞けます。CD販売もあり)、「マリア被昇天」が描かれたコルネリス・スフート作品のクポール(丸天井)なども見逃せません。本大聖堂はベルギー最大の歴史的建築物と見なされているとおり、とかく内部面積は約1ヘクタールと広大。聖堂内のあちらこちら(というより上下左右!)にお宝がありますので、最低1時間は時間をとり、ゆっくりと見学することをお勧めします。

<DATA>
Onze-Lieve-Vrouwekathedraal
住所:Handschoenmarkt
TEL:32 (0)3 213 99 51
開館時間:月~金曜10:00~17:00、土曜10:00~15:00、日曜祝日13:00~16:00、祝日前日10:00~15:00
入館料:5ユーロ、12歳以下は無料
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