「デートDV」とは……交際中の彼・彼女からの暴力・暴言等
暴言や暴力など、ひどいことをされても「好きだから」と我慢してしまっていませんか?
男女交際では、思わぬ言葉で相手を傷つけてしまったり、嫌な気持ちにさせてしまったりすることもあるもの。とはいえ、相手から侮辱的なことを言われたり、されたりしているなら、今後の対応をじっくり考えるべきでしょう。 たとえば、相手の次のような言動に、心当たりはありませんか?
- 「ブス」「デブ」「バカ」「能なし」などと、たびたび言われる
- 突き飛ばされたり、髪を引っ張られたり、物を投げたりされる
- 殴るふりをされたり、「ぶっ殺す」などと言われて脅される
- メールの履歴をチェックされ、行動や友だちとの付き合いを制限される
- 貯金を勝手に下ろされたり、無理矢理お金を払わされたりする
- 無理やり性行為をさせられる、拒絶しても応じてくれない
デートDVの種類……侮辱的な言葉、束縛、性的強要も「暴力」!
暴力の範囲は広い! 気づかぬうちにデートDVを受けているかもしれない
- 身体的暴力……殴る、蹴る、突き飛ばす、引きずり回す、物を投げつける、髪を引っ張る、など
- 精神的暴力……酷い言葉で侮辱する、脅す、無視する、など
- 社会的隔離……つきまとい、頻繁なメールや電話、詮索、監視、など
- 経済的暴力……お金や物を貢がせる、お金を返さない、など
- 性的暴力……性行為の強要、性行為中に望まないことをさせられる、避妊に協力しない、など
一般的に、DVやデートDVでは、殴る、蹴るの身体的暴力を想定する人が多いですが、実は上のように、たくさんの言動が当てはまるのです。侮辱的なことを言われ続ける、行動を監視され、メールの履歴をチェックされる、無理やり性行為に付き合わされる、避妊をしない、お金を取られる、といったことも「暴力」なのです。
また、2014年1月にはDV防止法が改正され、夫婦、元夫婦、事実婚カップルだけでなく、同居中のカップルからの暴力、つまり一部のデートDVも、DV防止法の対象となりました。これにより、同居中の相手から身体的暴力を受けた場合には、DV防止法に基づいて、被害者は一時保護などの法的制度を利用できるようになりました。
とはいえ、法制度利用に発展する前に、まずは「暴力のない交際」を心がけるのが大切です。それにはどうしたらいいのか考えていきましょう。
自覚のない「デートDV」からの身の守り方
バイオレンス系だけではない! ネチッとした暴力もある
暴力は無意識的に行われることが多いため、交際中の相手からそのようなことをされたら、次のような働きかけが必要になります。
1. 「嫌だ」「やめてほしい」とはっきり言う
2. 「それはデートDVだ」と、相手に教える
3. カップル間できちんと、デートDVの内容を理解する
4. お互いに、デートDVに当たる行為をしないよう約束する
単に理解が不足していただけであれば、「これも暴力になるんだ、知らなかった」と、反
省するパートナーもいるかもしれません。アダルト系の偏った情報を見て、「嫌がってい
るようで本当は喜んでいるのでは?」といった誤解をしていることもあります。また、女
性の場合、「デートDVは男性が女性に対して行うもの」と誤解し、自分自身が何気なくパ
ートナーに対して行っている言動の暴力性に気付いていないケースもあります。
カップルで正しくDV防止法やデートDVの内容を理解し、「自分がされて不快なことは、
相手も同じように不快に感じている可能性がある」と理解しあえば、「暴力のない交際」
は可能になります。
暴力と分かっていても別れられない理由
暴力は殴る・蹴るのバイオレンス系だけではない! 手を挙げない暴力もある
そうした相手は、ターゲットを見極めるとしつこく迫り、逃げ出せば必死で追いかけ、「もうしない」と反省します。とはいえ、少し経てば同じ行為の繰り返し……。相手を永続的に束縛し、自分の欲求のために利用するのです。
こうした人と離れられない人は、被害者自身が「支配者に従う生き方」を選択している場合が少なくないものです。自分に自信がないために支配するタイプの人に惹かれてしまい、「戻ってきてほしい」と懇願されると、「私を必要としてくれる」と感じて戻ってしまう。そうして、「1人になる不安」に耐えるより、「苦痛」に耐えることを選んでしまうのです。
デートDVだと分かっているのにやめられない、離れられない場合には、お互いの問題の根が深いケースが多いのです。恋愛心理学に関する本を読んだり、カウンセリングを受けたりして、「支配と依存」関係にはまるカップルの心のルーツを探っていく必要があるでしょう。
デートDVで相手と別れられない場合は法的手段の検討も必要
いずれにしても、デートDVに遭わない、デートDVを招かないためには、上に挙げた4つのポイントで相手ときちんと向き合うこと。さらに、5. 「次に同じことをしたら別れる」と宣言する
6. それでも繰り返したら、キッパリ別れて二度と戻らない
このように、断固とした態度を示すことが大切です。
独身であれば、離婚や子どもの問題を考える必要もなく、自分の意思次第で別れることができます。別れられない場合、別れてもしつこくつきまとわれる場合には、地域の男女共同参画センター、女性センター、婦人相談所、警察などの窓口に相談しましょう。DV防止法のほか、ストーカー規制法などの法的手段も検討し、対応した方がよい場合もあります。