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デートDVとは…対象となる暴力・暴言の種類・事例・対策法

【カウンセラーが解説】直接的な暴力はもちろん、性行為の強要や金銭的な無心、傷つく言葉や不安にさせる態度。そうした行為は「デートDV」かもしれません。交際中の男女は、相手を好きで「暴力」であると自覚しにくいものです。デートDVとは何かを正しく理解し「暴力のない交際」を実現していきましょう。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

デートDV」とは……交際中の彼・彼女からの暴力・暴言等

デートDVや彼氏・彼女・配偶者からの暴力イメージ

暴言や暴力など、ひどいことをされても「好きだから」と我慢してしまっていませんか?


男女交際では、思わぬ言葉で相手を傷つけてしまったり、嫌な気持ちにさせてしまったりすることもあるもの。とはいえ、相手から侮辱的なことを言われたり、されたりしているなら、今後の対応をじっくり考えるべきでしょう。 たとえば、相手の次のような言動に、心当たりはありませんか?
 
  • 「ブス」「デブ」「バカ」「能なし」などと、たびたび言われる
  • 突き飛ばされたり、髪を引っ張られたり、物を投げたりされる
  • 殴るふりをされたり、「ぶっ殺す」などと言われて脅される
  • メールの履歴をチェックされ、行動や友だちとの付き合いを制限される
  • 貯金を勝手に下ろされたり、無理矢理お金を払わされたりする
  • 無理やり性行為をさせられる、拒絶しても応じてくれない
本当は嫌なのに、相手を思いやって「いつものことだから」「ちょっと気が強いだけ」と考えてみたり、好きだからこそ「愛情の裏返し」「私に甘えている証拠」と解釈して、相手を悪者にしないように、関係を壊さないようにとしている人も少なくないかもしれません。しかし、上のような行為は「デートDV」と呼ばれる暴力なのです。
 

デートDVの種類……侮辱的な言葉、束縛、性的強要も「暴力」!

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暴力の範囲は広い! 気づかぬうちにデートDVを受けているかもしれない

夫婦、元夫婦、事実婚カップル間で起こる暴力を「DV」と言いますが、同じようなことは、交際中の男女でも起こり、これを「デートDV」と言います。具体的には次のような言動です。
  • 身体的暴力……殴る、蹴る、突き飛ばす、引きずり回す、物を投げつける、髪を引っ張る、など
  • 精神的暴力……酷い言葉で侮辱する、脅す、無視する、など
  • 社会的隔離……つきまとい、頻繁なメールや電話、詮索、監視、など
  • 経済的暴力……お金や物を貢がせる、お金を返さない、など
  • 性的暴力……性行為の強要、性行為中に望まないことをさせられる、避妊に協力しない、など

一般的に、DVやデートDVでは、殴る、蹴るの身体的暴力を想定する人が多いですが、実は上のように、たくさんの言動が当てはまるのです。侮辱的なことを言われ続ける、行動を監視され、メールの履歴をチェックされる、無理やり性行為に付き合わされる、避妊をしない、お金を取られる、といったことも「暴力」なのです。

また、2014年1月にはDV防止法が改正され、夫婦、元夫婦、事実婚カップルだけでなく、同居中のカップルからの暴力、つまり一部のデートDVも、DV防止法の対象となりました。これにより、同居中の相手から身体的暴力を受けた場合には、DV防止法に基づいて、被害者は一時保護などの法的制度を利用できるようになりました。

とはいえ、法制度利用に発展する前に、まずは「暴力のない交際」を心がけるのが大切です。それにはどうしたらいいのか考えていきましょう。
 

自覚のない「デートDV」からの身の守り方 

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バイオレンス系だけではない! ネチッとした暴力もある

暴力をふるう人は、機嫌が悪いときに殴る「ジャイアン」タイプだけとは限りません。手は上げないが、侮辱的なことをズケズケ言う「スネ夫」タイプのDVもあります。また、昼はおとなしいのに、夜になると性的な強要がすさまじい、借りたお金を返さない。暴力行為は、こうした言動の中にも表れるものです。

暴力は無意識的に行われることが多いため、交際中の相手からそのようなことをされたら、次のような働きかけが必要になります。

1. 「嫌だ」「やめてほしい」とはっきり言う
2. 「それはデートDVだ」と、相手に教える
3.  カップル間できちんと、デートDVの内容を理解する
4.  お互いに、デートDVに当たる行為をしないよう約束する


単に理解が不足していただけであれば、「これも暴力になるんだ、知らなかった」と、反
省するパートナーもいるかもしれません。アダルト系の偏った情報を見て、「嫌がってい
るようで本当は喜んでいるのでは?」といった誤解をしていることもあります。また、女
性の場合、「デートDVは男性が女性に対して行うもの」と誤解し、自分自身が何気なくパ
ートナーに対して行っている言動の暴力性に気付いていないケースもあります。

カップルで正しくDV防止法やデートDVの内容を理解し、「自分がされて不快なことは、
相手も同じように不快に感じている可能性がある」と理解しあえば、「暴力のない交際」
は可能になります。
 

暴力と分かっていても別れられない理由

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暴力は殴る・蹴るのバイオレンス系だけではない! 手を挙げない暴力もある

ところが、何度反省しても繰り返すパターンも少なくありません。ストレス解消のために、他人を支配し痛めつけようとする人は、自分の暴力に付き合ってくれる都合のいい相手を求めているからです。

そうした相手は、ターゲットを見極めるとしつこく迫り、逃げ出せば必死で追いかけ、「もうしない」と反省します。とはいえ、少し経てば同じ行為の繰り返し……。相手を永続的に束縛し、自分の欲求のために利用するのです。

こうした人と離れられない人は、被害者自身が「支配者に従う生き方」を選択している場合が少なくないものです。自分に自信がないために支配するタイプの人に惹かれてしまい、「戻ってきてほしい」と懇願されると、「私を必要としてくれる」と感じて戻ってしまう。そうして、「1人になる不安」に耐えるより、「苦痛」に耐えることを選んでしまうのです。

デートDVだと分かっているのにやめられない、離れられない場合には、お互いの問題の根が深いケースが多いのです。恋愛心理学に関する本を読んだり、カウンセリングを受けたりして、「支配と依存」関係にはまるカップルの心のルーツを探っていく必要があるでしょう。
 

デートDVで相手と別れられない場合は法的手段の検討も必要

いずれにしても、デートDVに遭わない、デートDVを招かないためには、上に挙げた4つのポイントで相手ときちんと向き合うこと。さらに、

5. 「次に同じことをしたら別れる」と宣言する
6. それでも繰り返したら、キッパリ別れて二度と戻らない


このように、断固とした態度を示すことが大切です。

独身であれば、離婚や子どもの問題を考える必要もなく、自分の意思次第で別れることができます。別れられない場合、別れてもしつこくつきまとわれる場合には、地域の男女共同参画センター、女性センター、婦人相談所、警察などの窓口に相談しましょう。DV防止法のほか、ストーカー規制法などの法的手段も検討し、対応した方がよい場合もあります。
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