煮魚(サバの味噌煮)
スパイシーさとフルーティーさが魅力、白も赤もある
サバの味噌煮は、永遠の和定食の王様、おふくろの味の代表、働く男の強い味方(女子もか)である。気軽な庶民の味であるサバの味噌煮をワインと合わせるとなるとなんだか気取った感じがするけれど、なんのなんの、サバの味噌煮にもばっちり合うカジュアルワインがある。
それはロゼ。鯖のしっかりした味わいや味噌のコクや旨味に負けない、ちょっと濃いめの辛口ロゼをお勧めしよう。実はイタリア、スペイン、フランスなど地中海地域では鯖をよく食べる。そのまま炭火焼きでオリーブオイルをかけたりすれば白ワインがいいけど、こちとら和食の味噌煮だ。ワインにも少しコクをプラスしたい。
南イタリア産で軽い渋味とコクを楽しめるチロ・ロザートがぴったりくる。1000円ちょっとという金額もいいでしょ。味噌煮を造る際にこのワインを隠し味として一緒に入れるともっとワインに合うようになる。
え? 我が家は白味噌派、いやいやうちは合わせ味噌、なにを言うか鯖には赤味噌という人、この辛口ロゼはそのぜ~んぶを引き受けてくれますよ。
揚げ物&天ぷら(イカ、エビ、白身魚)
爽やかな酸味が魅力のオーストラリア産、リースリング
魚介の揚げ物、美味しいんだよねぇ。唐揚げでも天ぷらでも串揚げでも素揚げでも、魚介の旨味がギュッと閉じ込められ、サクサクとした食感も軽やかに、いくらでも食べられるのが人気の所以。さっぱりと丁寧に繊細に揚げられるのが和食ならではの揚げ物だ。
さて魚介の揚げ物に合うのはどのワインか。それはずばり、酸味のある辛口白ワイン。もう、これ以外にないと言ってもいいくらい。
理由は、白ワインの酸味がレモン代わりになってくれるから。揚げ物にしぼりかけるあのレモンの働きをワインが自然にしてくれるのだ。だから揚げ物もワインもどちらもおいしくなって、さっぱりと飽きずに自然に食べ続けることができる。もちろん、魚介の臭みや脂っぽさも洗い流してくれる。
誤解を恐れず書けば、この爽やかな組み合わせ、日本酒、焼酎、ビールでは味わえない組み合わせともいえる。揚げ物には酸味のある白ワイン、手放せない。
今回は、とくに生き生きとしたフレッシュな酸味を楽しめるオーストラリア産のリースリング種の白をお勧めする。
魚編、いかがだろう。
ワインは、ピンポイントでしぼったが、これ以外にも様々な組み合わせが考えられることは言わずもがな。
しかし、魚だけど意外に白だけじゃない。赤やロゼも合うところが重要なこと。なぜならお刺身のところでも書いたが、和食には醤油や出汁、味噌といった味わい深い調味料が多く使われる。これらに合うのは複雑な風味を持つ赤ワインだからだ。
とはいえ白ワインも魚介和食との相性抜群。さまざまなワインが合うところから見れば、魚介和食もその味わいは幅広く、奥深く、バラエティ豊富ということだ。和食っていいね。
画像提供:東亜商事株式会社 酒類事業部