マネジメント/組織マネジメントとは

景気回復に向けた企業の「ブラック回避」マネジメント(2ページ目)

アベノミクスの進展とともに、今年の大きなテーマとなる景気回復の本格化。そこに向けてデフレ不況の落し子ともいえる「ブラック企業」の撲滅は、ある意味重要なテーマでもあると思います。そこで、ブラック企業にならないための組織マネジメントはいかにあるべきなのか、お馴染み「組織の7S」を使って考えてみます。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド


ソフト改善の要は管理者、そして経営者の意識

ハード面での“ブラック”回避策の整備が整った段階で、いよいよ今回のポイントとなる「ソフトの4S」における「」の改善に着手します。この場合の「人」の改善テーマは、“ブラック”と言われる状況を生み出さないような管理ができる「人」の育成であり、主役は管理者です。そしてその改善は同じ「4S」要素「スキル」の向上と一体で進め、「スキル」アップをはかることで「人」の管理能力を同時に高めていくことになります。

具体的「スキル」としては、コンプライアンス=法令順守」にかかわるものが何よりも重要です。対象になる法令は労働基準法を中心とした労働法です。経営者や労務担当責任者が労働法に明るくなくてはならないのは当然ですが、意外な盲点となっているのが管理者なのです。管理者の法定の労働時間、休憩、休日、残業等についての知識や管理意識が不十分で、結果として業績目標達成を優先することで現場の法令違反が発生しているケースも間々あります。“ブラック”回避に向けた「人」のマネジメントとして、現場管理者のコンプライアンスに係る知識および意識のスキルアップは不可欠なのです。

解説

ブラック回避のポイントは、管理者と経営者

このような流れにしたがって時間をかけながら「スキル」と「人」の改善が進むならば、「4S」要素「組織風土」は“ブラック”管理を許さないものへとなだらかに進んでいくことでしょう。しかしここで忘れてならないことは、これら施策の大前提としてトップの意識がしっかりと“ブラック”回避に向いていることです。トップの意識とはすなわち、「7S」の中心に鎮座する企業の「価値観」そのものです。その中心的役割を果たす「価値観」が“ブラック”回避と整合性を持たないならば、他の施策はすべて絵に描いた餅に終わってしまうのです。「“ブラック”回避は経営者から」、景気回復に向けまずは何より肝に銘じたいところです。
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