企業不祥事が生んだ「コンプライアンス」への正しい理解

組織運営において、「7S」よりもさらに前段に位置する重要なモノがあります。「コンプライアンス」です。「7S」が車を前に進める各部品であるとするなら、「コンプライアンス」はそれが存在しないならそもそも動かないというエンジンのような存在です。バブル経済崩壊後の我が国において多発する企業不祥事を受けて登場したこの考え方、日本語で「法令順守」と訳されることも多いのですが、近頃話題の「ブラック企業」の定義との関連性も含め、本来の意味はもっと複雑なものなのです。
解説

雪印食品は廃業に追い込まれた


「コンプライアンス」がことさらに力を入れて騒がれ始めたのは、2000年前後に相次いで発生した総会屋との癒着や粉飾決算による金融機関の倒産などの相次ぐ企業不祥事でした。さらにそれに追い打ちをかけたのが、「雪印乳業集団食中毒事件」と「雪印牛肉偽装事件」です。雪印グループは2000年に食中毒事件を起こしその対応のまずさもあって経営危機に追い込まれます。そんな折も折、狂牛病騒ぎでの国の国産牛買い取り支援策を悪用し国外牛を国産牛と偽って買い取らせると言う明らかな「コンプライアンス」違反を起こしたことで、社会的批判が集中。雪印食品は廃業に追い込まれました。些細な「コンプライアンス」違反が、大組織の存続さえも無にするということを世に示した衝撃的な事件でありました。

さらに「コンプライアンス」の考え方が、「単純に法令を守ること」ではないということが世に示されたとされるのが、05年前後に世間を騒がせた「ライブドア事件」であります。企業買収をはじめとして、日の出の勢いでその勢力を拡大していった新興のIT企業ライブドア社。証券市場における証取法TOB規制の外にあった時間外取引でニッポン放送株を買い占めた件が物議を醸しました。「脱法的だが、違法ではない」というこのやり方は「たとえ合法であってもコンプライアンス違反は存在する」という批判の目が集まり、世論にも押され国の威信をかける形で東京地検はライブドアの粉飾決算摘発に動いたと言われています。まさに「コンプライアンス」のあるべき解釈が社会的に問われた事件でありました。