“ブラック回避”に向け、まずはハード改善から

我が国のデフレ不況が産み落とし、世間を賑わしてきたありがたくない存在に「ブラック企業」というものがあります。本格的景気回復に向けて、デフレの象徴でもあるこの「ブラック企業」の排除は欠かせざる問題となるでしょう。そこで、「ブラック企業」の回避はいかになされるべきなのか、マネジメントの観点から解析しその道筋を探ってみます。

解説

噂のブラックマネジメントは、イコール「人」の問題

まず「ブラック企業」の定義ですが、以前は純粋にあらゆる面での法令違反企業を指してそう呼ばれていたのですが、ここ最近はベストセラー書籍の影響もあり、就労環境、特に若い低賃金労働者層を中心とした労働環境が悪い企業のことをそう呼ぶ傾向が強くなっています。背景にあるのは、まさしくデフレ経済。デフレ下でのコスト削減目的の「長時間労働」「低賃金」「実績偏重主義」などの行き過ぎが、若年労働者の雇用環境を直撃し“ブラック”と言われる状況を生み出したと言えそうです。すなわち、マネジメント要素で言えば「人」の正しい管理の問題であると捉える事ができます。

しかしながら、この「人」の管理の問題に関してその解決への道筋は容易ではありません。モレ、ダブリのない組織マネジメントの構成要素組織の7S」において「ソフトの4S」に属する「人」は、その改善には時間を要するものであり、まずは即効性のある「ハードの3S」から変更を加え時間をかけて「ソフトの4S」に変化を及ぼすような試みが必要になるからです。では具体的に“ブラック”回避に向け、組織マネジメント的にはどこから手をつけるのがよろしいのでしょう。

労働環境をブラックにしないためには、まずは社内の「制度」に法令違反が起きても仕方がないような瑕疵がないかのチェックが不可欠です。すなわち、「ハードの7S」で言うところの「システム=制度」の見直しから着手します。例えば、ルーチン業務の流れを書き示した業務マニュアルが残業作業を前提としたものになっていないか、配置人員数からみて確実にオーバーワークをもたらすものになっていたりしないか、という目で「制度」の見直しを検討することが大切です。

「制度」の実態調査を受けた整備をおこなった後には、その「制度」を最大限に活用できるような「組織」体制の見直しも必要になるでしょう。「組織」の見直しは、基本的には「戦略」の変更によって求められるケースが一般的なのですが、“ブラック”回避のような「コンプライアンス」の徹底をはかるための「制度」変更がある場合には、例外的に「制度」の効率的な運用を促す目的で変更される場合もあるのです。

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