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森山開次『HAGOROMO』インタビュー!(2ページ目)

2月に開幕を迎える『ARCHITANZ 2014』で、羽衣をテーマにした最新作『HAGOROMO』を披露する森山開次さん。能楽師の津村禮次郎氏とタッグを組み、古典とコンテンポラリーの饗宴のもと、新たな世界を描きます。ここでは、上演を間近に控えた森山さんにインタビュー! 作品の経緯と創作の様子をお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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音楽家にバリのアーティスト、デワ・アリットさんを起用した理由とは?

森山>彼はこれまで日本にも何回か来ていて、僕もお名前は知っていました。聞くところによると、非常に才能のある方だという。一方で、バリの伝統的なガムランに加え、新しいものを創作していこうと模索をしているひとでもあると。僕自身そういう感覚はすごくわかるので、ひょっとしたらいい出逢いになるのではと、彼とやりたいと直感的に閃いたんです。やはり日本のアーティストと作業をするより大変な部分はありますが、そこは文化交流使として乗り越えていきたいと考えています。

ただ、本来フル編成のガムランは、30人くらいでワーッと叩くもの。迫力があり、複合的であり、深いものなんです。今回はアリットさんひとりで叩くことになるけれど、それでも録音の音源を使うのではなく、ライブにこだわりたい。彼はそれだけのテクニックや経験もあるし、ひとりでも本当に魅力的で、ぜひみなさんに聴いていただきたいと思ったんです。

アリットさんは素晴らしい演奏家ですが、活動のメインは作曲家です。作曲家としてバリ芸能の世界で新たなチャレンジをしていて、模索や葛藤がある。もちろん彼は伝統も愛しているし、その上で新しいものを捉えているのですが、なかにはそれを理解できないひともいる。その中で葛藤し、活動をしているからこそ、こだわりが強いんです。今回はひとりで演奏することになるけれど、そこは彼に勝負してもらいたい。アリットさんの手で叩く音が、ダイレクトに伝わればいいなと思っています。

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    「TSUBASA」(2010) (C)Mitsunori Shitara


アリットさんと現地でリハーサルはされましたか?

森山>バリでは時間が限られていたので、振付けというよりも、音づくりをしていたという方が近いですね。僕が即興で踊ってみせたり、こんな作品にしたい、このシーンはこんな感じでというイメージを伝え、それに合わせて奏でてもらい、音の構築をしていきました。バリの思想や現地で体感したことを僕なりに入れ込んでいき、佐渡バージョンとはどんどん違う作品に変えていこうと思っています。

バリに行って一番感じたのは、いろんな音が響いているってこと。トッケイという名前のヤモリがいて、トッケイトッケイって鳴いている。それがまた、ものすごく大きなボリュームなんです(笑)。虫の音も、カエルの声も、風の音も。朝も夜もガムランの音が聞こえてくるし、バイクの音やノイズ、人間の生きている音が賑やかに聞こえてくる。それがバリのカラーでもあるし、ガムランも日常の音の一部になっている。向こうにいると、生活がシンプルになるせいか、音に敏感になっていくのを感じましたね。
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「KATANA」(2006) (C)Maiko Miyagawa



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