世界遺産「プラハ歴史地区」を歩く1. 旧市街広場~カレル橋
旧市庁舎からのすばらしい眺め。ふたつの塔が特徴的なティーン教会と、左下がゴルツ・キンスキー宮殿。あらゆる様式の建築物が混在しているのがプラハの魅力 ©牧哲雄
15世紀完成の天文時計。1時間ごとに12使徒が現れる仕掛け時計になっている ©牧哲雄
まず旧市街広場。ど真ん中にあるのが宗教改革で有名なヤン・フス像。ローマ・カトリックの弾圧が強かった中世ヨーロッパにあって、信仰の自由を認めたプラハの自由の象徴だ。
ランドマーク的なゴツイ建物がティーン教会(聖マリア教会)。ゴシックらしい細い線で構成されたシャープな意匠が特徴だ。その正面にあるかわいらしい建物がゴルツ・キンスキー宮殿で、柔らかな印象がいかにもロココ。見ているうちに建築様式の違いも自然にわかってくる。そのうち、なんだか人がやたらと集まって壁を見ている場所に出くわすだろう。それが旧市庁舎の天文時計だ。
天文時計脇の彫刻。左の時計部分は年に1周するプラネタリウムで、日時のほか太陽の運行の様子などを示している ©牧哲雄
また、この辺り、パブも多くて昼間から鼻を赤くしてビールを楽しんでいる人もたくさん。チェコはひとり当たりのビールの消費量が世界一という話もあるくらいのビール大国。日本のビールと似たピルスナー・ビールを昼から飲むなんて姿も、プラハの街にはよく似合う。
そうそう、それと高い建物にはとにかく昇っておこう。ガイドブックなんかでは旧市庁舎、火薬塔、カレル橋の橋塔を必ずすすめてるけど、いい景色なんていくらでもある。
世界遺産「プラハ歴史地区」を歩く2. カレル橋~マラー・ストラナ
30体の聖像が並ぶゴシックの代表建築物、カレル橋。15世紀、カール4世が建築したものだ ©牧哲雄
カレル橋の橋塔から見た景色。橋の上ではたくさんの人々がパフォーマンスを行っている ©牧哲雄
自作の絵や詩を売っている人、ヴァイオリンやギターを演奏している人、マリオネットやパントマイムを演じている人、さまざまなパフォーマーがここに集結してくる。みんな「これが楽しいんだ」「これが美しいんだ」と、真剣に、楽しげに演奏している。
プラハを支えているのはこの喜びだ。文化人や貴族だけでなく、一般の人々が絵や音楽や食を愛すこの文化にこそ、プラハの真髄がある。カレル橋で彼らの音楽を聴きながらプラハ城や連なる橋々をボケッと眺めてみよう。カフカがこの街を愛した理由が、よくわかるはずだ。
ペトシーン公園展望塔から見たブルタヴァ川とプラハ歴史地区。橋が並ぶ姿もまた美しい
さて、王の道を歩いている間に何度もプラハ城を見上げたことと思うけれど、その横にある塔が気になった人、散歩のセンス抜群! マラー・ストラナのペトシーン公園にはエッフェル塔を模した展望塔がある。ここから眺める景色は最高。登山電車でぜひ立ち寄ってみよう。
世界遺産「プラハ歴史地区」を歩く3. プラハ城
プラハ城。中央の建物は聖ヴィート大聖堂で、他に聖イジー教会や国立美術館、国立歴史博物館など数多くの施設が公開されている ©牧哲雄
プラハ城を守る衛兵たち。正午には衛兵交代が行われる ©牧哲雄
聖ヴィート大聖堂はプラハでもっとも驚くべき建物だ。ステンドグラスや塔の見晴らしもすばらしいが、外周の迫力がまたすさまじいので、じっくり見てみよう。一転してかわいらしいのが黄金小路。パステル・カラーの家並みがとてもキュート。No.22が、執筆がはかどるようにと妹が用意したというカフカの家だ。
プラハ城の周囲にもシュテルンベルク宮殿やカレル庭園など見所はたくさんある。のんびり散歩して自分だけのプラハを見つけてみよう。なお、プラハ城では1時間ごとに衛兵交代が行われるが、正午の交代は音楽を伴った派手な交代式となる。