モロッコが“美容大国”と呼ばれる、そのワケは?
エキゾチックなモロッコの街並み
そもそも、モロッコが美容大国と言われるのはなぜなのでしょうか? モロッコ発のスパコスメブランド「アン・ドートル・テルム」日本総代理店である株式会社ヤマモトアトリエ代表のヤマモトケイコさんに、お話をお聞きしました。
「まず、美容原料の豊富さと伝統的な美容法が受け継がれていることが挙げられます。モロッコは、とても自然豊かな国です。西は大西洋、北は地中海に面し、縦断するアトラス山脈を越えると乾燥地帯に入ります。その先には、雄大なサハラ砂漠が広がります。
この豊かな自然に育まれた植物やクレイ(粘土)を使った美容法や民間療法が、先住民族のベルベル人により、現在に至るまで脈々と受け継がれてきたのです」
また、アラブ女性たちの美容意識の高さも理由の一つだとか。
「“ハンマム”という、アラブ伝統の公衆浴場文化があります。アラブ女性たちはこのハンマムで、顔のみならず体や髪も同じようにたっぷり時間をかけてお手入れをします。
ベルベルの伝統美容とアラブ伝統のハンマム文化、そして豊かな自然に育まれた美容原料の豊富さがモロッコ美容の魅力であり、モロッコが“美容大国”と呼ばれる所以ではないでしょうか」
自然の恵みたっぷり! モロッコならではの美容原料の数々
上質な美容原料は豊かな自然に育まれる
「最も注目されているのが、モロッコ南西部にしか存在しないアルガンの種子から採れるアルガンオイル。アルガンにはオリーブの約3~4倍ものビタミンEが含まれており、エイジングケアに有効な原料として知られています。種子の中のわずかな仁(核)を搾って得られる、大変稀少なオイルです。化粧用だけでなく食用のオイルもあり、インナービューティにも有効なんですよ。
また、アトラス山脈の麓のオアシスにはバラの谷が多く存在します。5月にはダマスクローズやセンティフォリアローズが可憐なピンクの花を咲かせます。これらの花々を伝統的な方法で蒸留したローズウォーターも優れた美容原料として知られています。
モロッコでしか採れない天然の粘土、ガスールクレイも有名です。現地では、洗髪・洗顔の他、ハンマムでのパックなどでも使います。ミネラルが豊富なクレイなのでつるんとしたしっとりお肌になり、毛穴の汚れもしっかり取り去ってくれます。
海洋汚染されていないきれいな海が残っているモロッコ。海泥、海藻、海塩も豊富です。アン・ドートル・テルム製品を作っているフェイルーズ博士は海藻と細胞の研究をしている方なのですが、モロッコ南部の海藻はとても興味深い成分を含んでいると教えてくれました。
ビターオレンジもあります。花はネロリウォーターやネロリ精油、枝・葉はプチグレン精油の原料として使われます。アン・ドートル・テルムでは乾燥させた皮をバスソルトに使用しています」
他にもハーブや蜂蜜、サボテン種子オイル、アトラスシダーなど、モロッコならではのユニークな原料がまだまだたくさんあるとか。さらに、こうした素材の数々が野生の(肥料や農薬を与えない、自然の状態で生息している)状態であることに驚かされるそうです。
世界中のセレブが集う、モロッコのスパ事情って?
年間を通じて多くの観光客が訪れる
「モロッコのハンマムでは、オリーブの練石鹸で角質を柔らかくしてから垢すりをし、ガスールパックもしてもらえます。こういったハンマムの文化とヨーロッパのスパの文化を融合させたような施設が、モロッコ独自のスパです。
モロッコの高級ホテルにはハンマムとスパ、そしてトリートメントルームが備えられており、至れり尽くせりの施術を受けることができます。
近年、マラケシュなどの観光地には観光客向けの高級ハンマムも見受けられるようになってきましたが、町の中で行くのでしたら、地元の方たちと触れ合える昔ながらのハンマムもおすすめですよ」
高級ホテルのスパと情緒あふれるハンマム、どちらも魅力的ですね! 美容好きならぜひとも現地で体験してみたいものですが、日本からは少々距離のあるモロッコですから、なかなか叶わないのも現実……。
>>そこで次のページでは、自宅にいながらにしてモロッコ美容のエッセンスを堪能できる、モロッコ発のコスメをご紹介します。