第一位 スウィングの王様 ベニー・グッドマン 「ライブ・アット・カーネギー・ホール」より「シング・シング・シング」
ライヴ・アット・カーネギー・ホール・コンサート1938(完全版)
この実況盤が録られたカーネギーホールは、元々クラシックの殿堂として有名なホールでした。そこで行われた初めてのジャズコンサートが、今回ご紹介するベニー・グッドマンと彼の楽団による「ライブ・アット・カーネギーホール」です。
ここには、当時のジャズ界最高峰のデューク・エリントンとカウント・ベイシー楽団からの強力な助っ人も馳せ参じて、当時のスウィングオールスターズともいうべき顔ぶれによる歴史的な演奏が繰り広げられています。その歴史的なコンサートのフィナーレを飾ったのがこの曲「シング・シング・シング」です。
この曲は、ベニー・グッドマンは勿論、当時のスウィングジャズを代表する曲といってよいもの。言わば、ジャズにおけるベートーベンの第九に当たる曲と言ってよいでしょう。
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このベニー一党による1938年のライブ盤は、クラシックでいえば、いまだに第九の決定版と言われる、1951年のバイロイト祝祭管弦楽団を指揮したヴィルヘルム・フルトヴェングラーの有名な演奏に相当するものです。
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
この第九は、フルトヴェングラーの盛り上がりにオーケストラも一緒に炎と化し応える名演です。
最後の最後のフルトヴェングラーのプレスト(急速に)のあまりに急速な棒にはさすがにオーケストラはついていけず、終わりの部分で金管が飛び出してしまうという有名な演奏です。しかし、そんなことは一切気にならないくらいの昂揚感に圧倒される演奏です。
ベニー・グッドマンによる「シング・シング・シング」もこの荘厳な第九にまけずに、緩急自在に盛り上がります。ベニー・グッドマンによるクラリネットソロや、ピアノのジェス・ステイシーのソロも素晴らしいですが、やはり特筆すべきはドラムのジーン・クルーパです。
この演奏が、ジーン・クルーパをスウィングドラムの第一人者に押し上げました。ジーンのドラムは、最後に向かうにつれどんどん盛り上がり、エンディングも一斉に終わり、バッチリ決まっています。音楽により一年を振り返り、カタルシスを体験するには打ってつけの、年末にふさわしい演奏といえます。
今年一年は、あなたにとってどのような年でしたか。来年は、更なる飛躍の年になりますように。また来年お会いしましょう。
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