米文化をビジネスと成立させる
「米料亭 八代目儀兵衛」では、五感を刺激するお料理の数々で、ごはんの魅力を堪能できます。
(画像提供/八代目儀兵衛)
橋本「確かにいろいろな不安要素はありますが、政治や業界に期待するだけでなく、自力で活性化するという志が必要です。
僕は、お米文化をビジネスとして成立させることを目指しています。例えば、今取り組んでいるのが『お米番付2013』。
ブランド米として人気のあるお米も、まったく無名のお米も、作る上での苦労は同じ。でもブランドという枠にしばられると、どんなにによいお米を作っても認められ難い状況があります。
『お米番付2013』では、『八代目儀兵衛』のお米マイスター20名他が立ち上げた「日本お米向上委員会」が、「7つの審査基準」に則り、審査します。私たちが重要視しているお米の「甘味」や「香り」などのお米の個性を大切にし、食味計に頼らず、実際に人の五感で感じる美味さで、お米を評価します。
3年前からは、自社農園プロジェクトをスタート。生産者と同じ立場に立場で、知恵や情報を共有し、農業を支援しています。(画像提供/八代目儀兵衛)
また一過性のイベントにはせずに、インターネットでのギフト販売や、一流料亭や国内航空会社の機内食へのPRなど、実際に消費者の元へ届ける仕組みを支援していきます。
消費者にとっては、プロによる確かな評価を得たお米を確実に購入することができます。生産者にとっては、今は無名のお米であっても品質そのもので正当に評価されます。このような新たな流通革命を起こすことで、日本のお米業界を活性化したいと考えています」と、意欲を語る橋本さん。
偽装表示などの問題で、何を信じればよいのかという声もよく聞かれます。生産現場を自分で確かめられればよいのですが、多くの消費者にとっては不可能に近いことです。ならば、この人が選ぶものならと信じられるという人を知ることも、「安心」を得る方法の一つだと、ガイドは思います。
米屋としての誇りをかけて、生産者を理解し、研ぎすまされた五感でおいしいお米を選び、お客様においしい食べ方を提案する。その橋本さんの姿勢に、米屋の本来の社会的役割を見ました。事業の本質的な部分は変えずに、時代に応じたアプローチをする。「不易流行」の理念で、おいしいお米とその文化を未来に伝えていく、橋本さんの眼差しの先には、明るい希望が感じられました。
関連リンク
・「米料亭 八代目儀兵衛」に学ぶお米の美味しさ(食と健康)
・八代目儀兵衛
参考/
・和食(農林水産省)