テクノポップ/アーティストインタヴュー

(鈴木慶一+KERA)X新生ナゴム=No Lie-Sense(3ページ目)

ナゴムレコード30周年! 新生ナゴムレコードからの第1弾アーティストとして、No Lie-Senseが『First Suicide Note』を11月6日にリリース。No Lie-Senseは、秩父山バンド以来となる鈴木慶一さんとKERAさんのユニット。ユニット結成、レーベル再始動、製作中の話、そして昔話までお二人に語り尽くして頂きました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

演劇的要素?

ガイド:
女性ゲストが多数参加していることも関係しているのかもしれませんが、演劇的な要素が出ているような感じを受けたのですが。

KERA:
みんなそれ言いますね。そうしようと意識はしてないけど、そうなることを拒もうともしていない。

鈴木:
むしろ嬉しいね。

ガイド:
別にロックオペラ的なことをやろうとしたわけでもないと。

鈴木:
まったく。やってるうちに出てくるアイデアは、そういうことにも触れていくんだよね。KERAは劇作家であり演出家でもある。で、私もムーンライダーズのステージでは一応演出家で、台本を書く。というようなこともあるんじゃないかな。シアトリカルなことをしたいなというのは。実際に演劇をやるっていうことには、色々な現場を見てると大変そうなので私は踏み込まないけど、ある時それを私は音楽の中で完結してしまおうと決めたんだ。ムーンライダーズというバンドのメンバーで、ちょっとシアトリカルなことをやっていこうと決めた。でも今は休止中じゃない? で、この二人が組んだら当然(演劇っぽさが)出てきて当たり前かなと。ビートニクスよりもシアトリカルになっていく。それはいい悪いではなくて、ビートニクスの重厚さとはまた別な、笑ってごまかしてるのかそうでないのか、どっちだか分かんないようなシアトリカルさみたいな。

KERA:
別段笑かそうとも思ってなくて。(No Lie-Senseの)シアトリカルっていうのは、ミュージシャンが芝居がかったことをやるシアトリカルともまた違うじゃないですか。

鈴木:
そうね。ムーンライダーズでシアトリカルにしようったって役者みたいにはできないんで、何か違う、できる範囲のことになる。でもセンス・オブ・ヒューモアみたいのはずっと必要だと思ってるんだよね。それが無けりゃあ、生きていけない。

ガイド:

お二人が子供の頃に親しんできたエノケンとかクレイジーキャッツとかの昭和喜劇に通じるユーモアを出そうと思ったりはしましたか?

KERA:
クレイジーキャッツだけ別のところにいるような気がする。

鈴木:
ファンキーでアヴァンギャルドというか。

KERA:
で、大人だし。なんかあの人たちは、おどけを突き抜けたところにいる。いわゆる喜劇人が音楽を切ると、どこか媚びてる感じになりがち。でもクレイジーキャッツはイカシた大人なんですね。洒落てるし、実に堂々としている。まあ、本職はジャズメンですから当然といえば当然なんですけどね。子供は分からなくていい、みたいなとこがあったような気がする。

鈴木:
クレイジーキャッツは「スーダラ節」がテレビで流れた時は、子供でも翌日は“スイスイ スーダララッタ”って言ってるわけだよ。他の歌詞、例えば「チョイト一杯のつもりで飲んで」は分かんないけど、あそこの部分はみんな真似する。でも「ホンダラ行進曲」を子供が真似するかっていったら、そうではないと思うんだよ。「スーダラ節」のインパクトは子供にも達したと思うけど、(メインのターゲットは)わりと大人だよね。サラリーマンとか。

KERA:
エノケンとか僕のルーツにありますけど、(No Lie-Senseでは)そんなに出てないと思うんだよね。センス・オブ・ヒューモアがあるけども、「おかしいでしょ、これ。聞いてよ、笑うよ」っていうようなものにしてしまうと、ちょっと違うんだろうなっていう。笑う人は笑うだろうけど、かえってこの陽気さが気持ち悪いって人もいるだろうし。「なんだろう?“けっけらけ”って。怖いよ」みたいな人もいるだろうし。

鈴木:
「けっけらけ」っていうのは、慶一とKERAとで“けっけらけ”ってことだね。
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