心地良いホスピタリティ
スペルと小麦のリゾットの上に鎮座する秋の味覚、セップ茸。ああ、この料理を表現するのはとても難しい。皿から立ち上るセップの香りと食感とリゾットの深い味わい。そこにメルロー主体のボルドーワインが添えられる。燃え立つ紅葉を眺めながら落ち葉を噛み締めて歩くフランスの田舎がここにある。料理で風景が浮かぶことはあまりないが、ここは紛れもないフランスだと感じる。目の前にあるベイブリッジの夜景は視界に入る由もない。
香織が飛び出て来そうだ
トリュフとフォアグラのパイ包みには王道のペリゴールソースが一面を埋め尽くす。リゾット同様、味わいは強く、しなやかだ。サンテミリオンのワインがもう一つのソースとなり、どんどん深みにはまっていく。
ナイフを入れるとトリュフの香りが湧きあがる
サービス担当の鈴木氏はまるでフランス語を話すように日本語で説明や心地良い薀蓄を語ってくれる。聞こえないようでよく聞こえる話をされる不思議な方だった。料理を運んでくださるスタッフも笑顔が素敵な女性で、そういったところに心地良い「おもてなし」を感じる。
赤ワインは欠かせない
輪郭のはっきりとした料理が続いたあとは海に浮かぶアマダイが登場。軽く生姜を利かせた軽やかなスープに波のない、穏やかな地中海が見えるようだ。シンプルな中にしっかりとしたフランス料理のエスプリが感じられる一皿だ。
海の香りに包まれたい
和牛フィレ肉のグリエと赤ワインのソースは確かに王道だが、ここまでクリエーティヴな「作品」が続いただけに普通感は否めない。とは言え、写真からもわかるように料理の完成度は極めて高い。
日本の和牛のクオリティの高さを改めて知る
都心から少し離れているところに非日常感を感じるテラス オン・ザ・ベイ。平日にも関わらず席は適度に埋まり、流れる会話は心地良いノイズとなって静かに響く。
あたたかなキャラメルと洋梨のロースト、僅かなアニスの風味が心地良い。
デザートのあと、気持ちのいいよい加減の先にはベイブリッジと東京タワーが光り輝く。
可能であればディナーの後はそのままホテルに泊まり、ベランダからの夜景をシャンパーニュとともに独り占めしたいものである。
夜景を見ながらの贅沢感に浸りたい
テラス オン・ザ・ベイ
東京都港区台場1丁目9番1号 ホテル日航東京3F
「ゆりかもめ」お台場駅直結
TEL:03-5500-5580 レストラン総合案内・予約(9:00~22:00)
ランチ 11:30~14:30
ディナー 17:30~21:30
禁煙