台地のはじまり、赤坂1丁目
「赤坂」を所在地名とする区域は、南を六本木通り、北を青山通りに、東西はそれぞれ環状3号線(外堀通り)と同4号線(外苑東通り)に囲まれた一帯にそのほとんどが収まるのであるが、1丁目だけは六本木通りの南側に飛び出している。その名の通り、「溜池」交差点(赤坂東端)の低地から、標高30m前後の「六本木」交差点(同西端)までは一気に台地に駆け上がる格好となり、赤坂1丁目はちょうどその斜面のはじまりにあたる。これは、東京メトロ南北線「溜池山王」駅13番出口からすぐの「桜坂」を上れば瞬時に実感できることで、この辺りの地勢を把握することは比較的容易である。海(東南)の方向には、海面とほぼ同じ高さが続く日比谷、新橋の街並みが広がり、こんもりと高い愛宕山越しに「浜離宮」が位置している。平屋の建物と度重なる大火で江戸の町は大きな樹が少なかったであろうことを思えば、この高台からも海が臨めたかと想像するが、今となっては確認する術はない。
赤坂1丁目には、おもだった施設として米国大使館が存在するが、やはりその多くを占めるのは「アークヒルズ」(森ビル)である。オフィス、ホテル、商業施設や住居に加え、大きなコンサートホールまでを併設する大型複合施設は、その竣工から四半世紀が経過。外周を取り囲む桜並木は立派な大木に育ち、地元の人たちにとって春は桜を楽しむのに丁度良い散策路になった。
サイオン桜坂(2009年11月竣工)を見学
その桜坂に沿って、「サイオン桜坂」という分譲マンションがある。鉄筋コンクリート造26階建て、総戸数87戸のタワーマンションである。竣工は2009年11月、売主は興和不動産。当初賃貸物件として企画されたが、完成後に区分所有権付き建物として分譲。そもそも虎ノ門~赤坂・六本木エリアは都市再生緊急整備地域に選ばれ、大規模再開発を幾つも成し遂げた都心部における活性化著しい区域のひとつ。隣接する「アークヒルズ」は「アークヒルズ仙石山」の完成を機に、街としてのポテンシャルをさらに拡大するプロセスに入った。来年竣工予定の「虎ノ門ヒルズ」、環状2号線によりますます期待されるエリアになることが十分予想できる。その“ホット”ゾーンに位置する駅近、築浅マンションが「サイオン桜坂」である。
今回内覧したのは21階部分、東南向きの角部屋住戸。下の画像は、リビングダイニングから「ホテルオークラ」(東南東)、「虎ノ門ヒルズ」(建設中)を向いて撮影したもの。都心でありながら抜けがあり、緑豊かな景観が特長だ。画像提供はカガミ建築計画。