「現在指向」と「未来指向」、2つの時間的展望を考える
「時間的展望」をわかりやすく言うと?
「時間的展望」をわかりやすく言うと何か?
私たちは過去を回想したり、未来を展望したりして、現在を生きています。
「時間的展望」とはわかりやすくいえば、過去が現在につながっている、そして現在が未来につながっているという意識のことなのでしょう。
人間は長期的な目標を持つことによって、現在の生活の充実につなげることができます。その意味で、ビジョン(夢や目標)を持つことは確かに大切でしょう。将来のヒントは、必ず過去や現在の自分の中に埋め込まれているので、「在りたい姿」を思い描くには、まず「今の自分」をよく知ることが必要です。
キャリアを育むうえで重要なことは、「在りたい姿」を描くことそれ自体よりも、現在と将来をうまく連携させることではないでしょうか。そのためには、夢や目標を設定し、その実現を目指して努力を継続していくというやり方が唯一のアプローチというわけではありません。
「今の自分」を延長していくことで「在りたい姿」につなげるという方法も考えられます。演繹的なアプローチと帰納法的なアプローチとの違いでしょう。
あなたは未来指向型? 現在指向型?
未来をベースに考えるタイプと現在をベースに考えるタイプが存在します。
その一方で、明確な目標を描くことはできなくても、英語が好きだから英語を勉強しよう、それをどこかで生かせればよいと考え、今に集中した結果、外資系企業に就職したといった場合は、「今の自分」を延長するアプローチといえるでしょう。
時間的展望には、現在と未来のどちらを重視するかという点で個人差があることが知られており、現在よりも未来を重視する「未来指向型」、未来よりも現在を重視する「現在指向型」という2つのタイプに分けられます。
性格特性的な見地では、未来・改革・創造等の言葉が好きな方は未来指向型、現在・改善・安定等の言葉が好きな方は現在指向型でしょう。
「在りたい姿」を自然に描くことができる未来指向タイプには、ビジョン(夢や目標)を設定するところから始めるアプローチが適合します。一方、現在指向タイプの場合には、ビジョン(夢や目標)を設定するというアプローチは適合しづらいといえます。
「今の自分」をよく理解しても「在りたい姿」がなかなか描けないという現在指向の場合には、無理をせず「今の自分」を充実させて、それを延長していくことで「在りたい姿」につなげていけばよいと考えましょう。
未来指向タイプの場合、傾向があまりにも強くなると、「今」が将来の目標を実現するための手段となってしまい、「今」しかできないことや「今」だからこそできることを見失う可能性もあるので、この点に注意が必要です。現在指向タイプの場合も極端になると、「今」だけを大切にするあまり、刹那的な生き方になりがちなので、やはり注意が必要といえるでしょう。
このように、現在と将来のつなぎ方は、その人の価値観や生き方と密接に関わっています。「在りたい姿」を明らかにするアプローチのみならず、「今の自分」を延長するというアプローチも採れることを知っておくことです。読者の皆さんはどちらの指向タイプでしょうか。ご自身の指向に合わせてビジョンメイクする形が宜しいと思います。
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