司法書士試験/司法書士とは

司法書士とのダブルライセンス(行政書士など)(2ページ目)

司法書士資格とのダブルライセンス(司法書士と宅地建物取引士『通称:宅建』、税理士、土地家屋調査士、行政書士)について、業務上のメリットや試験勉強の共通範囲、難易度などをご説明します。

松本 雅典

執筆者:松本 雅典

司法書士試験ガイド


3. 司法書士と土地家屋調査士

以前、司法書士の仕事(1)という記事で、不動産登記についてご説明しましたが、実は、不動産登記のうち、司法書士が行えるのは「権利の登記」というものであり、「表題登記」は土地家屋調査士の業務となります。
不動産登記は、「表題登記」と「権利の登記」に分かれています。「表題登記」には、不動産の物理的状況(何平方メートルの土地なのか、木造の建物なのか鉄筋の建物なのかなど)が記録されます。それに対して、「権利の登記」には、不動産の権利関係(誰が所有者なのか、銀行の抵当に入っている不動産なのかなど)が記録されます。

(1) 業務上のメリット
税理士同様、業務上のメリットは大きいです。「表題登記」と「権利の登記」の依頼は同時にくることも多いため(建物を新築したときなど)、双方の業務を行えれば、大きく業務範囲が広がります。

(2) 試験
同じ不動産登記に関する資格であるため、民法や不動産登記法など試験科目で重なっているものがあります。ただし、司法書士試験で学習する不動産登記法の知識のほとんどは「権利の登記」についてのものですので、「表題登記」について新たに学習する必要があります。また、測量や作図など、司法書士試験とはほとんど関係のない学習も必要となります。

税理士と同じく業務上のメリットが大きく、税理士よりも資格を取りやすいので、司法書士と土地家屋調査士の資格を保有し、双方の業務を行っている方は多くいます。ただし、ご注意頂きたいのは、土地家屋調査士は司法書士以上に実務経験が必要となります。実際に測量などを行うためです。また、測量などの業務があるため、設備投資も司法書士以上に必要となります。


4. 司法書士と行政書士

行政書士は、官公署に提出する書類の作成、及び、権利義務又は事実証明に関する書類の作成が、基本的な業務です。「官公署(イメージとしてはお役所です)に提出する書類」(建築許可申請書など)には様々な種類があり、また、「権利義務又は事実証明に関する書類」(売買契約書など)も様々な種類がありますので、行政書士の業務範囲は世間のイメージ以上に広いです。

(1) 業務上のメリット
農地の売買の許可申請(司法書士の業務である不動産登記と関係)、会社関係の書類作成(司法書士の業務である商業登記と関係)など、司法書士の業務と関連するものがありますので、行政書士資格を有していることのメリットはあります。私の知り合いの司法書士でも、行政書士登録もしている方も多くいます。ただし、実際には司法書士業務がメインであり、行政書士業務は数か月に一度,必要があれば行う程度であるという方も多いです。

(2) 試験
行政書士試験の法令科目は、「基礎法学、憲法、民法、行政法、会社法(商法)」ですが、このうち、司法書士試験の試験範囲となっているものは「憲法、民法、会社法(商法)」です。点数でいうと、行政書士試験の満点が300点ですが、そのうち憲法、民法、会社法(商法)は124点を占めます。配点の割合に従って円グラフにすると、以下のようになります。

司法書士試験と行政書士試験の科目

司法書士試験と行政書士試験の科目



民法、会社法(商法)については、司法書士試験のほうが少し難易度が高いので、学習時間が少なくても高得点が見込めます。


最後に今回の記事でご紹介しました、司法書士以外の4資格の取得のしやすさ(「司法書士試験の学習経験がある方にとって」という前提つきです)をまとめておきます(あくまで私の考えである点はご了承下さい)。
※下にいくに従って難易度が高くなります。

1. 宅地建物取引士
2. 行政書士
3. 土地家屋調査士
4. 税理士


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司法書士試験と行政書士試験、どっちから受けるべき?

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