「どこで何点取るかを決めておきましょう」

司法書士試験の合格を目指すにあたって、事前に「どこで何点取るか」という得点計画を考えておくことは必要です。もちろん、年度によって各科目の難易度が異なりますので、実際には完全に事前の計画どおりにいくということはほとんどありません。しかし、得点計画を立てておくと普段の学習の目安となりますし、何より合格者は得点計画を立てて本試験を受け、合格しています。


合格に必要な得点

得点計画は、当然合格点を満たすものである必要があります。そこで、まずは合格に必要な得点を確認しましょう。

司法書士試験は、「午前択一」「午後択一」「記述」の3つに分けて採点がされます。この3つそれぞれに設けられた基準点(足切り点)以上の点数を取ったうえで、合格点以上の点数を取る必要があります。平成22年度~平成26年度の基準点および合格点を例に確認してみましょう。平成22年度~平成26年度の「午前択一」「午後択一」「記述」の基準点および合格点は、以下のとおりです。


司法書士試験の基準点・合格点

      司法書士試験の基準点・合格点


午前択一および午後択一は35問あり1問3点ですので、計105点ずつです。記述は計70点です。よって、満点は280点となります。

上記の表から、以下のことがわかります。

■午前択一(全35問)
最低でも、26問(74.3%)~28問(80.0%)は取る必要がある
■午後択一(全35問)
最低でも、24問(68.6%)~27問(77.1%)は取る必要がある
■記述
最低でも、37.5点(53.6%)~39.5点(56.4%)は取る必要がある

ただし、実は「午前択一」「午後択一」「記述」のすべてについて基準点を取ったとしても合格できません。「午前択一」「午後択一」「記述」の基準点を合計した点数と合格点との間には「15.0点~19.5点」の開きがあります。つまり、「午前択一」「午後択一」「記述」の基準点以上の点数を取ったうえで、さらに「15.0点~19.5点」積み上げる必要があります。「午前択一」「午後択一」「記述」のどこで積み上げても構いませんが、択一(1問3点)でいうと「5問~7問」に該当します。


目標とする点数は「午前択一30問」「午後択一29問」「記述49点」

積み上げる必要がある点数も考慮したうえで、目標としていただきたい点数は以下のとおりです。

■午前択一
30問(90点)
■午後択一
29問(87点)
■記述
49点(7割)

この点数が取れれば、不合格になる可能性はほとんどなくなります。
午後には記述があり、午後のほうが午前よりも時間の制約が厳しいため、午後択一の目標点数を午前択一よりも1問少ない「29問」としましたが、午後択一も「30問」としていただいても結構です。午前択一・午後択一の目標点数を「30問・30問」としている受験生の方も多いです。

なお、上記の目標は「午前択一30問」「午後択一29問」のほうを「記述49点」よりも重視してください。記述は採点基準が公表されていないため、「これくらい書けたら、これくらの点数は入るだろう」という予測が立てづらいです。また、ほとんど毎年、記述においては「受験生の方が予想していなかった出題」があります。出題形式がガラっと変わったり、記述では出題されないと考えられていた論点が出題されたりするのが、毎年恒例になっています。私はこれを「サプライズ」と呼んでいますが、記述においてはサプライズがあるのが通例です。

よって、予測の立てづらい記述が少し崩れてしまっても大丈夫なように、「午前択一30問」「午後択一29問」の確保に力を入れてください。

次に、「午前択一30問」「午後択一29問」を具体的にどう取っていくか、つまり、各科目で何問正解すべきかを説明します。なお、記述については、前述したとおり採点基準が公表されていないため、「具体的にどこでどう点数を取るか」という計画は立てられません。


午前択一の各科目の目標正解数

■憲法(3問)・刑法(3問)
→目標正解数5/6問
憲法と刑法は別の科目ですが、合わせて考えます。「憲法または刑法のどちらかの科目で正解が困難な問題が1問出る」ということが多いからです。よって、目標正解数も、どちらかの科目で1問出題される難問を除いた5問となります。

■民法(20問)
→目標正解数18/20問
20問中18問ということは「9割」ですが、これくらいは欲しいところです。民法は、択一で最も出題数の多い科目であり、また、他の科目の基本ともなる科目です。「民法を制するものは司法書士試験を制する」という格言があるとおり(司法試験や行政書士試験にも同様の格言があります)、民法は得意科目にして「9割」の正解を目指す必要があります。

■会社法・商法(9問)
→目標正解数7/9問
例年、正解が困難な問題が1問は出題されます。また、会社法は平成17年および平成26年に改正がされているため、範囲が絞りづらい分野もあることから、目標正解数を「8問」とはせず「7問」としました。


午後択一の各科目の目標正解数

■民事訴訟法(5問)・民事執行法(1問)・民事保全法(1問)
→目標正解数5/7問
民事訴訟法、民事執行法および民事保全法も、合わせて考えてください。「民事訴訟法、民事執行法および民事保全法の中で難問が2~3問出る」ということが多いからです。近年は、特に民事訴訟法と民事執行法で難問が出題されることが多いです。この3科目は、次に見る供託法や司法書士法よりも難易度が高いので、目標正解数は5問で構いません。

■供託法(3問)
→目標正解数3/3問
全科目の中で最も過去問からの出題率が高い科目です。よって、全問正解が目標となります。実際にほとんどの合格者の方が、供託法は全問正解しています。

■司法書士法(1問)
→目標正解数1/1問
司法書士法も、「正解が困難な難問である」ということがほとんどない科目です。近年、少し出題範囲が広がりましたが、通常のテキストおよび過去問で十分正解できるレベルです。

■不動産登記法(16問)
→目標正解数14/16問
同じく主要科目である商業登記法よりは正解しやすい問題が多い科目です。多くの合格者の方が、14問以上正解します(合格者によっては満点を取ります)。ただし、近年は難問が少し増えてきているので、難問が多かった場合には「13問」や「12問」でも合格できる可能性はあります。

■商業登記法(8問)
→目標正解数6/8問
不動産登記法と同じく主要科目ではありますが、不動産登記法よりは正解率が下がる科目です。その理由は、受験生の方が一般的に苦手とする分野(「解散・清算」「持分会社」「法人法」など)からの出題率が高いからです。よって、目標正解数は6問と低めにしています。なお、商業登記法は不動産登記法とは逆に、近年は易化の傾向にあります。この傾向が続くのであれば、目標正解数を「7問」としてもよいです。


以上、「目標とする点数」「各科目の具体的な目標正解数」を見てきました。実際の本試験ではなかなか計画どおりにはいかないでしょうが、合格者の方は事前の計画とかなり近い正解数を出しています。目標としては常に意識するようにしてください。