司法書士試験に合格後、司法書士事務所へ就職せずに開業される方もいますが(地方になるほどすぐに開業される方が多くなります)、最も多くの方が採る選択肢が「就職」です。司法書士の資格取得を目指される方の多くが、独立志向があり、開業を目標にしていますが、司法書士試験合格までは実務経験のない方が大半であるため、まずは実務経験を積むために事務所へ就職するのです。

しかし、司法書士事務所は一般企業ではないため、大学生の就活などと異なり、情報があまりありません。そこで、この記事では「司法書士試験合格者の司法書士事務所の見つけ方」を中心に司法書士試験合格者の就職についての情報をお伝えします。


就職の時期

大学生の就活ならば、「12月に就職活動をスタートし、まずは企業説明会があり、この業種は大体この時期に面接があり…」など、ほとんど決まったスケジュールがあります。

司法書士事務所への就職

司法書士事務所への就職

しかし、司法書士事務所は新卒の方を採用対象とするのではなく、司法書士資格の保有者を採用対象とします(無資格者の採用もあります)。また、一般企業と比べると、事務所の規模はかなり小さいです。従業員が10人以下の事務所も多く、50人も従業員がいれば、かなり大規模な事務所になります。そのため、一般企業のように「一括採用」という形式は採らず、「人員が不足した場合に、その都度採用する」という形式となっています。よって、「この時期に就職活動をしなければならない」というものはありません。

また、資格は期間の経過によって価値が下がるものではありませんので、都合の良い時に就職活動をすれば問題ありません。たとえば、私が合格後に就職した事務所に、私とほとんど同時期に就職した女性司法書士の方がいました。しかし、この方は私の7年前に司法書士試験に合格されていました。合格後に出産されたため、就職が合格から7年後になったわけです。

このようにご自身の事情によって決めていただければ結構なのですが、特に事情がない方は「いつ就職活動をすればよいのだろう?」と考えてしまうと思います。そこで、一般的に多い就職時期を記載しておきます。

・最終合格発表(11月初旬)~本格的な研修開始(最終合格発表の翌年の1月)
・研修終了後(最終合格発表の翌年の3月初旬)
・認定考査終了後(最終合格発表の翌年の6月初旬)
※研修の時期は、地域によって多少異なります。

なお、大企業のように、「企業説明会に参加し、エントリーシートを提出し、一次面接があって、二次面接があって、最後に役員の最終面接がある」などと段階があるわけではなく、通常は「履歴書を送付し、事務所の所長と面接をして採用の採否が判断される」となります。そのため、就職活動開始時期と就職時期は、ほぼ一致します。

就職時期については、「特に事情がなければ、早いに越したことはない」というのが私の考えです。早くスキルを身に付けるのに越したことはないからです。また、上記に記載した、「多くの方が就職活動を行う時期」よりも前に就職活動を行うことにより、ライバルが減り事務所の選択肢が増えるという利点もあります。私の場合、口述試験(10月中旬)と最終合格発表(11月初旬)の間に就職活動をし、最終合格発表の前には就職先の事務所が決まりました。


司法書士事務所の見つけ方

求人募集をしている司法書士事務所の見つけ方としては、以下のような方法が代表的です。それぞれのメリット・デメリットも合わせて記載します。

1.ホームページ上の求人情報を探し、司法書士事務所に直接連絡する
ホームページのある事務所は、ページ上に求人情報を出している場合があります。また、司法書士会のホームページに求人情報を出している司法書士事務所もあります。たとえば、東京司法書士会には以下のようなページがあり、東京都内の司法書士事務所の求人情報が掲載されています。

東京司法書士会/求人情報

■メリット
・インターネット上で探せるため、労力がかかりません。
■デメリット
・事務所がホームページ上に出している情報以外に情報がありません。通常、都合の悪い情報は載せないか、抽象的な表現で掲載します。そのため、実際に働き始めてみると想定していた職場と異なることがあります。

2.司法書士会に履歴書登録をする
上記1で説明した「事務所が司法書士会のホームページに求人情報を掲載する」というものの反対の形式です。求職者が司法書士会に履歴書を登録することができます。求職者が司法書士会に履歴書を登録すると、それを、求人を募集している事務所が閲覧することができ、事務所の側から連絡がきます。
※個人情報などの問題から、履歴書登録の制度を廃止する司法書士会が増えてきていますので、この方法で就職できない都道府県も増えてきています。

■メリット
・一旦履歴書を登録すれば、待つだけで構いません。
■デメリット
・事務所の側から連絡がくるため、自分から選ぶことができません。もちろん、連絡がくれば就職しなければならないというわけではありません。

3.エージェント会社を利用
「エージェント会社」とは、求職者が希望条件などを登録し(通常は最低でも一度はエージェント会社に行く必要があります)、それに見合った司法書士事務所を探してくれる会社のことで、面接のセッティングまでしてくれます。たとえば、次のようなエージェント会社があります。

メンターエージェント
リーガルブライト

■メリット
・エージェント会社が事務所探しをしてくれるため、手間がかかりません。
・費用は基本的に無料です。採用が決定すると、事務所がエージェント会社に仲介料を支払います。
■デメリット
・紹介される事務所が、エージェント会社が把握しているものに限定されます。
・エージェント会社に登録している求職者が多い時期ですと、なかなか事務所が紹介されない場合があります。

4.ハローワークで探す
一般企業同様、ハローワークで司法書士事務所を探すこともできます。

■メリット
・企業がハローワークに登録するには、保険など法令を順守している必要があるため、保険制度の整っていない事務所を紹介されることはなくなります。
■デメリット
・ハローワークの職員は司法書士事務所に精通しているわけではありません。そのため、希望どおりの事務所が見つかるとは限りません。

5.予備校が開催する就職合同セミナー
すべての予備校ではありませんが、大手予備校ですと、合格発表後に、就職合同セミナーを開きます。予備校の大教室などを使用し、司法書士事務所の採用担当者がブースを設けます。

■メリット
・一度に多数の事務所の採用担当者と話すことができます。
・ほとんどの受験生の方は予備校を利用したことがありますので、予備校が主催するセミナーに参加するのは敷居が低くなります。
■デメリット
・参加する事務所のほとんどが大規模事務所であり、個人事務所はほとんど参加しません。

6.縁故採用
知り合いに事務所を紹介してもらうなどの方法です。また、受験仲間で自分よりも先に合格し就職した友人に紹介してもらうということもあります。

■メリット
・縁故採用ですので、採用される確率はかなり高くなる傾向にあります。
■デメリット
・紹介者の手前、退職しづらくなります。


合わない事務所だったら

ご自身の性格や希望に合う方法で事務所を見つけていただければ結構ですが、最後に私から1つアドバイスがあります。

合わない事務所であればこだわらず退職して下さい。

合わない事務所であれば早めに決断を

合わない事務所であれば早めに決断を

残念ながら、いわゆる「ブラック」と言われるような事務所もあります。法律を扱う職種ではありますが、違法な労働時間を強いる事務所やパワハラがある事務所もあります。ブラックな事務所に当たってしまったら、そこにこだわる意味はありません。一般企業と異なり、資格があれば転職は容易です。さらに、現在は合格者数が減り、特に都市部は売手市場にあります。「すぐに辞めるのは憚られる」という方もいますが、体や精神面のほうが大事ですので、躊躇なく退職されることをお勧めします。

「ブラックな事務所でも我慢しなければならない」というほど、司法書士の資格の価値は低くはありません。


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