現在「司法書士試験の主要な予備校を挙げろ」と言われれば、LEC(レック)、TAC/Wセミナー(タック/ワセダセミナー)、伊藤塾および辰已法律研究所を挙げることができます。司法書士試験の受験勉強を開始し予備校の利用を検討する場合、多くの方が、この4予備校のいくつかを検討対象とします。そこで、この記事では、この4予備校の比較をします。
※なお、特定の予備校に偏ったことは書かないように注意したつもりですが、筆者は辰已法律研究所で講師をしている点は、ご了承ください。


どんな予備校?その特徴は?

これらの予備校がどのようなものか、簡単な歴史などを交え説明していきます。

司法書士試験の予備校

司法書士試験の予備校

■LEC
最も規模の大きい予備校です。その証拠に、模試(模擬試験)の受験者数はトップです(2015年1月現在)。講座の受講者数は、公表していない予備校が多いため定かではありませんが、一二を争うことは間違いありません。また、校舎数も、最も多い予備校です(2015年1月現在)。そのため、ほとんどの地域で、答練(答案練習会)や模試を会場受験できます。

■TAC/Wセミナー
かつては「早稲田セミナー(以下「Wセミナー」といいます)」という予備校でしたが、事業譲渡などを経て、かつてのWセミナーの講座は「TAC」が開いています。よって、予備校名は「TAC」になります。ただし、「Wセミナー」もブランド名として残っています。そのため、「TAC/Wセミナー」と表記しています。この予備校の特徴は、何といっても「講師の個性」です。竹下貴浩先生、山本浩司先生、姫野寛之先生をはじめ(2015年1月現在)、個性の強い講師が揃っています。

■伊藤塾
かつてLECで司法試験の講師をしていた伊藤真先生が設立した予備校です(設立時の名称は「伊藤真の司法試験塾」)。そのため、当初は司法書士試験の講座を開講していませんでしたが、現在では司法書士試験の予備校として広く知られるところとなっています。伊藤塾の理念は「合格後を考える」というものです。単に合格を目指すだけではなく、合格後に法律家になったときのことまで含めて指導をしている点に特徴があります。

■辰已法律研究所
伊藤塾と同じく、かつては司法試験をメインとしていました。よって、伊藤塾同様、LECおよびTAC/Wセミナーに比べると、司法書士試験に関しては後発の予備校です。司法試験の答練・模試の受験者数がトップの予備校であり(2015年1月現在)、演習系のノウハウが豊富な予備校です。そのため、司法書士試験でも、当初は答練・模試のほうに力を入れていました。しかし、近年は基礎講座や中上級講座担当の講師も揃え、講義のほうにも力を入れてきています。
また、「講師の個性を前面に押し出した講座を展開する」というコンセプトがあります。その証拠に、講座の名称に講師の名前が入っているものが多数あります。


各予備校の開講講座

司法書士試験対策の講座には、大きく以下の4つがあります。

■インプット
・基礎講座
初めて法律を学習する方、法律学習経験者でも点数が伸び悩んでいる方などを対象とする講座です。そのため、講義回数が最も多く、テキストの内容のすべての説明がされます。

・中上級講座
法律学習経験があり一定程度の実力のある方を対象とする講座です。そのため、講義回数は基礎講座に比べ少なく、テキストの内容のうち基本的な説明は省かれます。

■アウトプット
・答練(答案練習会)
問題演習講座です。模試と異なり、本試験と同じ分量(午前択一35問、午後択一35問、記述2問)ではありません。予備校によって内容が少し異なりますが、大体、本試験の半分ほどの分量(ex.択一35問、記述1問)です。解説講義を受講することもできます(別途受講料がかかります)。

・模試(模擬試験)
問題演習講座です。本試験と同じ分量(午前択一35問、午後択一35問、記述2問)です。答練と同じく、解説講義を受講することもできます(別途受講料がかかります)。

これ以外にも、単科講座(ex.記述対策講座)はありますが、上記の4講座が基本となります。

これらの4つの講座についての4予備校の開講状況は、以下のとおりです。

開講講座

開講講座



主要予備校ですので、基本的には全種類の講座を開講しています。ただし、伊藤塾のみ「答練は不要である」という考え方を採っていますので、答練は開講していません。とはいえ、他校の答練とは異なりますが、伊藤塾も問題演習を中心とした講座はあります。


どこの予備校がいいの?

司法書士試験の予備校

司法書士試験の予備校

予備校の利用を考えている方は、「どこの予備校にすればいいのか?」ということが最も知りたいと思います。ただし、この記事の冒頭に記載しましたとおり、私が辰已法律研究所で講師をしている以上(基礎講座を担当しています)、「この予備校が最も優れている」と申し上げても公平性はないと思います。そこで、「こういう方であれば、この予備校を選択したほうがよいのでは?」という提案をさせていただきます。これは、あくまで1つの判断要素にすぎません。必ず実際のガイダンスや体験講義をご覧になったうえで(現在ではどの予備校でもWebサイト上で視聴できます)、決定してください。

■LEC
前述しましたとおり、最も規模の大きい予備校です。よって、「大手に通っている」という安心感を得たい方にはお勧めです。ご自身が保守的だと感じていらっしゃる方には、大手は安心感が違いますので、選択するメリットがあると思います。また、校舎数が最も多いので、地方にお住まいの方で予備校に通学したい方にもお勧めです。他校ですと通学できない地域でも、LECならば通学できることもあります。

■TAC/Wセミナー
前述しましたとおり、講師の個性の強い予備校です。よって、ガイダンスや体験講義をご覧になって、その考え方や講義に感銘を受ける講師がいた場合は、そのままご受講されることをお勧めします。逆に、講師の個性が強いため、合わないと感じた場合はやめたほうがよいと思います。

■伊藤塾
伊藤塾は、受講生の方同士の交流が最も活発な予備校です。懇親会なども、他の予備校と比べ多く開催されています。よって、受験仲間を作りたい方で、LIVE講義に通うことができる方にお勧めです(※)。
※受験仲間は、LIVEで講義を受講していないと作るのは難しいです。これは、どこの予備校でも同様です。

■辰已法律研究所
前述しましたとおり、講師の個性を前面に押し出すことが多い予備校です。講座の企画や教材内容まで、担当講師が関わっている割合が高いです。よって、TAC/Wセミナーと同じく、ガイダンスや体験講義をご覧になって、その考え方や講義に感銘を受ける講師がいた場合は、そのままご受講されることをお勧めします。逆に、講座のコンセプトが合わないと感じた場合はやめたほうがよいと思います。

最後に各予備校のWebサイトを記載しておますので、ひととおりご覧になってみてください。
LEC
TAC/Wセミナー
伊藤塾
辰已法律研究所


講座選びの大事なポイント!「フォロー制度」

講座を検討する際、「講師」「教材」「受講料」は、大抵の方が気にされます。しかし、意外と気にされないのが「フォロー制度」です。フォロー制度とは、質問制度のことです(司法書士試験の予備校の選び方(2)に書きましたので、こちらも合わせてご覧ください)。受講を開始すると、これらの重要性に気づきます。特に、講義後に直接講師に質問ができない通信で受講する場合は、大きなポイントとなります。よって、講座を検討する際は、「講師」「教材」「受講料」だけではなく、「フォロー制度」もチェックしてください。具体的には、以下の点を確認してください。

・質問制度の形式
「メールを使用する」「SNS(ブログなど)を使用する」など

・質問の回答者
担当講師自身が回答するのか、スタッフが回答するのか

・質問の回答までの一般的な所要時間