資格試験の世界では、よく「ダブルライセンス」という言葉が使われます。これは、1つの資格だけでなく、2つの資格を保有していることを指します。今回の記事では、司法書士と他資格とのダブルライセンスについてご説明します。


司法書士とのダブルライセンス

司法書士と他資格とのダブルライセンスは、様々な組合せがありますが、たとえば、以下のようなものがあります。

1. 司法書士と宅地建物取引士
2. 司法書士と税理士
3. 司法書士と土地家屋調査士
4. 司法書士と行政書士


これらの組合せについて、「双方の資格を取得して業務上のメリットがあるのか?」という点と、「双方の資格を取得することができるのか?(試験科目の重なり具合や難易度など)」という点をご説明していきます。後者については、「司法書士試験の学習をしている方、又は、司法書士試験合格者の方が、他資格を受検するにあたって」という視点から記載致します。つまり、司法書士試験の学習を先にしているという前提です。


1. 司法書士と宅地建物取引士(通称:宅建)

宅建は、雑な言い方をすれば、不動産会社に必要な資格です。不動産売買の重要事項説明などは宅地建物取引士がする必要があり、不動産会社の事務所には、5名に1名以上の割合で宅地建物取引士を置かなければならないとされています。そのため、不動産会社への就職には有利な資格ですし、不動産会社に勤務されている方は取得のメリットがあります。

(1) 業務上のメリット

この2つの資格を保有している方は多いのですが(私も保有しています)、双方の資格を使って仕事をしている方はほとんどいません。双方の資格を使って業務を行うとなると、不動産会社を経営し自分で成立させた不動産取引(宅建の資格を使用)の登記手続を自分で行う(司法書士の資格を使用)ということになりますが、登記手続についての司法書士のスキルも習得したうえで、不動産会社の経営もするというのは、普通の人では難しいので、両立させている方はほとんどいないのが現状です。
ただし、宅建試験で学習する知識は不動産に関するものですので、司法書士の不動産登記業務に役立つのは事実です。

(2) 試験
宅建試験では民法が、50問中12問程度出題されます。司法書士試験の学習をされた方であれば、難易度は低いと言える問題ですので、宅建試験の民法はほとんど学習せずに満点近くの点数が取れます。よって、試験におけるアドバンテージはあります。


2. 司法書士と税理士

税理士は、法人や個人事業主から依頼を受け、税務申告や会計帳簿の記帳などを代わりに行います。

(1) 業務上のメリット
相続税と相続登記、税務顧問契約と会社設立など、税理士業務は司法書士業務との関連性が強いので、双方の資格を取得し、双方の業務が行えれば、大きく業務範囲が広がります。

(2) 試験
税理士試験と司法書士試験は試験科目が重なっておりません。また、税理士試験は、科目ごとに合格し、複数年かけて資格を取得するのが通常です。
よって、上記のような業務上のメリットはありますが、実際に双方の資格を取得するのは容易ではないというのが現実です。

>>続いて、土地家屋調査士と税理士についてご説明します。