受験勉強を通じて培える「課題解決力」と「段取り力」
私は普段就活生に直接セミナーや研修を実施するだけではなく、リクルートのような大企業や官公庁の方々と若者の就職支援のプロジェクトで関わることが多い。そこでは東大や慶応大出身の一般的に「高学歴」と言われる人たちと一緒に仕事をしているわけだが、仕事を通じて彼らがどんな能力が高いのかを日々感じることがある。
受験勉強で培った力はビジネスの現場でも活かせることが多い
例えば受験では「多くの問題」と向き合う必要がある。数学などでは暗記した知識だけでなく、公式を使って自分の頭で色々な角度から問題の解決方法を模索する。そのプロセスで培った「課題解決力」は実際に社会に出て仕事で直面する多くの課題を解決していくことにも役立つ。
また受験勉強はたった1回の試験日に向けた「勉強での準備合戦」だ。しっかり計画を立てて、効率よく準備出来た人が成果を出せる。仕事もある意味日々の準備の積み重ねで成果が出ることにも共通していることを考えると「段取り力」は重要だ。
私が普段の仕事を共にする高学歴な人たちは、やはり膨大なデータを分析して解決案を出すスピードは私の何倍も早いし、プロジェクトを進めていく上での段取りは本当に計画的で細かい。どちらかというと勢いとノリで仕事をすることの多い私は日々反省の毎日だ。
ちなみに私は北海道の田舎町で生まれ育ったため、小学校、中学校、高校は町に1つしかなかったので受験勉強はまったく経験していない。大学もアメリカの大学に留学したが、ウィスコンシン州の田舎にある小さな大学だったのでアメリカ人も誰も知らない無名校だ。
では、私は今仕事で高学歴の人たちにまったく歯が立たないかというと決してそんなこともないと感じている。もちろん数字の分析などでは歯が立たないが、なぜかいつも新しいアイデアを出したり、プロジェクト全体をまとめたりすることで感謝されることが日々多い。
私も普段の仕事では「創造力」や「企画力」を強みに仕事をしている
ここまで読めば勘の良い学生はわかるはずだ。
ターゲット大学を設定している企業は多く、多くの有名大学の学生は「課題解決力」や「段取り力」を持っているという評価は事実としてある。しかし、それらは決して大学受験のみで培えるわけではないのだ。
もし自分の大学の知名度が低く、多くの企業のターゲット大学になっていないことを悩んでいる学生がいたら、企業が求める力を培える経験を今からでも始めることだ。
受験勉強で成果を出せた人はそれを強みにすればよい。でももし受験勉強を経験していなかったり、成果を出せていない人はそれ以外の経験で自分が持っている社会で活かせる力を伝える努力をしてほしい。
企業は必ずそれを見つけてくれるし、きっとそれを評価してもらえた時「学歴フィルター」なんて言葉は頭の中から消えているはずだろう。