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ダンサーズ ・ヒストリー 新国立劇場バレエ団 福岡雄大(2ページ目)

この秋上演を迎える新国立劇場バレエ団公演『バレエ・リュス ストラヴィンスキー・イブニング』に出演し、『結婚』と『アポロ』の二作で主演を務める福岡雄大さん。舞台に対する真摯な姿勢は、前回のインタビューでお伝えした通り。ここでは改めて彼のバレエ人生を振り返り、プリンシパルに至る道程を辿ります。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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「いろいろやったけど、結局バレエしか残らなかった(笑)」と、福岡さん。最初は習い事のひとつとして始めたバレエ。だが日を追うごとに、その比重は大きくなってゆく。

中学生になるとコンクールにも積極的に参加し、またコンクールの質が上がるにつれ、クラシックはもちろんコンテンポラリーも重要な審査対象になってくる。コンテンポラリーのレッスンにより力を入れ、結果レッスン数はグッと増えた。
「スタジオの方針で、コンクールでは賞を目指すというよりも、少しでも舞台経験を増やそうという考えがあります。本番が増えてシンドかったけど、いろんな人を見てもっと上手くなりたいって向上心が生まれたのもその頃でした」

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ケイ・バレエスタジオ時代。
『白鳥の湖』を踊る


さらに高校生にもなれば、卒業後の進路も頭をよぎる。就職という現実に向き合ったとき、バレエを職業として改めて意識する。
「バレエを踊るのが好きという実感はありましたし、それが仕事になればいいなという気持ちもありました。ただ、不安でしたね。この世界って弱肉強食というか、結局踊りが上手くないと仕事がもらえない。こんな踊りなのに大丈夫なのかな、この先仕事がもらえるかなと……」

常に応援してくれていた両親も、仕事にするとなると話は違う。何の保証もない世界、ケガをしたら、仕事がなくなったらと、ひと通りの心配をされたという。
「でも高校生くらいから賞がもらえるようになって、少し安心してくれたみたい。それに、“僕にはデスクワークの繰り返しはムリだと思う”って言ったら、“まぁそうだろうな”って(笑)」

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ケイ・バレエスタジオ時代。
『エスメラルダ』を踊る


高校卒業後は、バレエの傍らアルバイトの日々。それは、バレエ教師の方針でもあった。バレエというある種特異な世界では、金銭感覚もまた違う。アルバイトをすることで、社会勉強をさせようという親心だ。最初で最後のバイト先は、牛丼の“なか卯”。
「10円、100円のありがたみがわかるようにバイトをした方がいいと先生に言われて。“いらっしゃいませ!”って働いてましたね(笑)」
プリンシパルとなった現在も、奢ることない謙虚な姿勢。その精神は、彼の原点にあるのかもしれない。

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