「グッド・イナフ・マザー」が子どもを伸ばす
「ほどよい母」に接していれば、「ほどよい子」になれる
いつでも「いい母」になって、先回りして問題を回避し、子どものために最善を考え、環境を整えてあげることは、一見子どものためになっているように思えます。しかし、実は子どもが自分の問題を自分で考え、その問題に直面化し、自分の力で解決していく力を奪っていることも多いのです。
お母さんが完璧を目指さず、かといってほったらかしにせず、ほどよく子育てをしていれば、子ども自身も、「ほどよい子ども」でいることができます。ときには、いいかげんだったり、なまけたり、わがままを言うことがあっても、「それも含めて自分なんだ」と認められ、いつでも自然体でいられます。
すると、子どもは「こうあらねばならない」という自分像に縛られることもなくなり、自由にやりたいこと、するべきことに取り組むことができます。自分で選んだ道で失敗して傷つくことがあっても、自分で努力して解決したり、責任をとることができるのです。
「グッド・イナフ・マザー」になるためのステップ
「グッド・イナフ・マザー」になるためには、ありのままの自分を大切にすること
母親だって、一人の人間。子どものために頑張る自分がいる一方で、ときには子育てなんて夫に任せて、自分のやりたいことを優先させたい。家事だってときにはサボるし、日がな一日、なまけることもある。こうした、けっして理想的とは言えない自分の姿を表出しながらも、いつも子どもの気持ちを受け止め、見守り、支えている――こんな「ほどよい母」がいちばん現実的であり、子どもにとっても、夫にとっても、実は「理想的」なのではないでしょうか?
「グッド・イナフ・マザー」になることは、難しいことではありません。ときには、「自分のため」に楽しむ時間を確保してみましょう。お母さん1人が子育てをするのではなく、周りの人に任せてみることも必要です。最初は不安かもしれませんが、色々な大人に接して、刺激を受けることは、子どものためにもなることです。
そして、ときには「いいかげんな自分」「なまけたい自分」「わがままな自分」も出してみましょう。食卓にお総菜ばかりが並ぶ日があっても、「よし」とする。家事をほったらかしてゴロゴロする日があっても、「よし」とする。たまには自分のためだけにごほうびを買う日があっても、「よし」とする――こんな風に、自分の中にいる「色々な自分」にOKを出していくこと。
「お母さん」の自分でいながら、「ありのまま自分」も大切にする。そんな「グッド・イナフ・マザー」が子どもをのびのびと成長させ、家庭を楽しい場所にさせるのです。