マンション販売の駆け込み需要が起きるなどいろいろな業界に影響を与えはじめていますが、お客さんを集客しないと売上がたたない飲食店業界には特に大きな影響をあたえます。高級レストランで2万円のコース料金が21,000円から21,600円になってもそれほど影響はありませんが、税込300円の牛丼が310円になると価格に敏感な消費者の足が遠のきかねません。小規模なお店ほど消費税増税の影響を受けます。
消費税増税で値付けがやっかいになる
消費税の端数処理のため店側は1円玉の大量ストックが必要になる
今まで5円玉をストックしておけば釣り銭対応できたのが1円玉になりますので、扱う通貨量が5倍になります。本部で1円玉を調達し、各店舗へ運ぶなど1円玉をどう確保するのか頭を痛める必要があります。特に両替する銀行が長期間閉まるゴールデンウィークや正月はいつもよりストックを増やしておかなければなりません。
8%から10%への消費税アップが検討されていますが、100円ショップにとっては110円の方が消費者にも分かりやすく、釣り銭対応も5%時代と同じになるのではやく10%にならないか待ち望むことになります。
500円弁当が515円になったら誰も注文しなくなる
500円弁当が515円になったら誰も注文しなくなる
朝、オフィスへ行って515円弁当を注文するのは、けっこうやっかい。多くのオフィスでは注文票近くにお金を入れる箱が用意されていますが、注文する人はきっちり515円を入れなければなりません。手元に600円あっても箱の中に85円の小銭が入っているケースはマレです。
これが500円弁当なら1000円を出して、誰かが入れた500円をお釣りにすれば、すみます。お釣りがないと今日は外へ食べに行くかとなり弁当注文が減ってしまいます。弁当屋で単純に515円の値付けをすると注文が減ってしまいますので、少し分量を増やしお釣りにも対応しやすいた520円の値付けを考えなければなりません。
オフィスには他社の注文弁当も入っていますのでライバルの状況を確認しなければなりません。内容量を減らして500円という価格を維持するところが出てくると、500円と520円の価格勝負となり注文数にかなりの影響を与えます。同じように価格を据え置いて500円にするか、思い切って内容を豪華にし600円、700円弁当をめざすか経営判断しなければなりません。500円と価格を据え置いて今回は切り抜けても10%に消費税が上がれば、また同し苦労をしなければなりません。また500円弁当に価格をおさえるため、材料を変えてうまくなくなったでは本末転倒となってしまうので要注意。
消費税の価格転嫁が難しければ商品群で価格コントロールすることも考えなければなりません。お客さんがラーメン目当てで来店するならラーメンの価格は維持しますがセットでよく出る餃子やから揚げで消費税分を吸収するのも一つの策。コストアップになっている金券やポイント制度の頻度を減らす、やめることも考えなければなりません。
値付けが変われば、値札、POP、メニューを全て変更
値付けが変われば、値札、POP、メニューを全て変更
総額表示では「弁当 500円(内消費税 23円)」と表示しなければなりません。100円ショップという看板は本来、105円ショップにしなければなりませんが財務省の見解では100円ショップはお店の名称(屋号)扱いにしていますので総額表示義務の対象にはなりません。
消費税が上がるたびに105円ショップ、110円ショップと看板を書き換えていては大変です。ただし屋号と看板が違う場合があります。居酒屋などで280円均一という看板を上げているお店がありますが、看板には「280円(税込294円)均一」と書かれています。もちろん税込価格はとっても小さく書かれています。
消費税が8%になれば看板は「280円(税込302円)均一」とかけ直さないとなりません。これがチェーン店となると大変な数の看板の作りかえになります。また店内の料金表示は総額表示ですので、メニューなども「302円(内消費税22円)としなければなりませんが、300円を超える価格が消費者にとって心理的ネックになります。本体価格を276円に下げて、総額表示で298円(内消費税22円)とするのも一つの手です。看板は「「276円(税込298円)均一」となります。ただし、消費税が10%になった時のことをあわせて考えておかなければなりません。
やっかいなことに、これらの変更作業を2014年3月31日の閉店後に行わなければなりません。前もって新価格のメニューを用意し、3月31日までの価格をテープで貼っておいて、4月1日のオープン時にはがすような工夫が必要です。