日本人とフィンランド人の共通感覚をくすぐるデザイン雑貨店
こじんまりとした店内には日本、フィンランド、北欧各地からセレクトされた、日本人とフィンランド人のどちらもがその良さを共有できるアイテムがずらりと並んでいる
かもめ食堂の舞台となったレストラン
カハヴィラ・スオミからもほど近い、ヘルシンキの雰囲気ある路地の一角に面した小さな雑貨店common(コモン)。2007年にオープンしたこのお店のオーナーはなんと、かねて憧れていたフィンランドに思い切って渡ってきてからお店のアイデアを思いつき、そのまま見事に実現させた、意欲的で仲睦まじい日本人ご夫妻です。当初はフィンランド雑貨を扱うお店も検討していたそうですが、ヘルシンキでは、むしろフィンランド人に日本のデザインの魅力を知ってもらえるお店のほうが稀少で喜ばれるのではないか、という思いから、日本のデザインプロダクトをメインに扱うお店を開くことに決めました。
壁には、現地在住日本人グラフィック・デザイナーが描いたアイテム出生地マップが
日本からはるばる渡ってくるアイテムはいずれも、オーナーご夫妻がフィンランド暮らしの日常の中で「フィンランドに合うな、あったらいいな」と思うものばかりがセレクトされています。今日フィンランドや北欧のデザインが日本で大きくもてはやされているように、実は日本人とフィンランド人の間には、理想的なデザインに対して相通じる共通感覚がある、と確信しているというオーナー。小紋柄、江戸小紋などに通ずる日本らしい音の響きをもつコモンという店名にも、お店のコンセプトである「日本とフィンランドに共通する」という意がこめられています。
日本からのアイテムだけでなく、
地元職人やフィンランドで活躍する日本人デザイナーの作品も
地元のマーケットで出会って惚れ込んだ伝統カゴ職人さんのオーダーメイド作品も販売
コモンのこじんまりとしたギャラリーのような店内に並んでいるのは、主には日本各地からセレクトし輸入されたデザインプロダクト。シンプルでタイムレス、出来るだけ長いスパンで人々に愛されるものをセレクトするのがオーナーのこだわりです。ヘルシンキの人々のあいだでは、少しエキゾチックで、でも不思議と自分たちの生活シーンにもなじむものに出会える場所として着実に浸透しつつあり、評判も上々のようす。商品を映えさせるディスプレイ棚も一部は現地在住の日本人デザイナーによるもので、店内ではしばしば、日本の作家を紹介する企画展が開かれたりもします。
芸術工房村フィスカルス在住の日本人木工職人、山田吉雅氏の動物を形どった木工製品
いっぽう、日本からの旅行者にとっても興味深く、心のこもったお土産候補にもなるアイテムとしては、例えばフィンランドで活躍中の在住日本人デザイナーの作品や、オーナー自身が惚れ込んだフィンランドの伝統工芸職人による別注品などが人気。
コモンは、まさに日本人とフィンランド人が良さを分かち合えるモノばかりが集まってきて引き合わされる、両デザイン文化の交差点のような場所と言えるでしょうか。気さくに現地のデザインシーンのお話を聞かせてくれるオーナーとの会話も楽しみながら、日本人とフィンランド人どちらもの心の琴線に触れるデザイン世界をのぞいてみませんか。
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common(コモン)
住所:Pursimiehenkatu 1, 00120 Helsinki
TEL:+358 9 670 385
アクセス:トラム3「Viiskulma」下車徒歩2分
営業時間:月~金曜11:00~18:00、土曜11:00~16:00
定休日:日曜(夏季・クリスマス期に不定休あり)
※上記データは記事公開時点のものです。