通信販売に対する経過措置
事業者が、通信販売により商品を販売する場合、指定日前までにその販売価格の条件提示を行い、施行日前に申し込みを受けた場合には、その商品の引き渡しを4月1日以後に行うときであっても、その取引については旧税率を適用するというものです。ここでいう通信販売とは、一般に、テレビ、インターネット、カタログ、チラシ等の倍値を通じて販売条件を提示し、売買契約の申し込みを受けるなどの販売方法を指します。
したがって、「新型のタブレットが販売予定です。引き渡しは税率があがった後だけれど、この販売条件で承諾いただけるのであれば、旧税率適用でお引き渡し致します」といったような取引形態がこれに該当します。
旅客等運賃の対価に対する経過措置
旅客等運賃の対価に対しては施行日前に領収したものについては、そのサービスを受ける日が施行日以後であっても、旧税率を適用するというものです。旅客等運賃にはいろいろ含まれます。以下のものが該当します。
- 電車、タクシー、船舶、航空機に係る旅客運賃
- 映画、演劇、演芸、音楽、スポーツなど不特定多数の者に視聴させる場所への入場料
- 競馬・競輪・競艇などへの入場料
- 美術館、遊園地、動物園、博覧会の会場など不特定多数の者に視聴させる場所への入場する施設への入場料
したがって、「業務に関する出張で国内線の旅客運賃を早割でおさえた。実際、使用するのは施行日以後になるのだが」というような場合、旧税率の取扱いになるということです。
電気・ガス・水道の対価に対する経過措置
電気・ガス・水道などの料金は必ずしも、月単位の請求がなされるわけではなく、それぞれの事業者定めた検針期間等に基づき料金の請求がなされます。そこで、施行日にまたがって、供給される電気・ガス・水道などの料金は、施行日以後の部分も含めて、旧税率のままで良いとされています。したがって、この部分に実務的対応としては、「電気のご使用料に関するお知らせ」といったような検針表をきちんとチェックすることです。
ここで紹介しきれない経過措置もまだまだ数多くあります。国税庁ホームページでも「平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」というものを公表し、周知徹底に努めています。
自社の何が経過措置の対象になり、どのような判断基準で旧税率、新税率を区分するのかは消費税の申告書作成の際もポイントになってきます。
自身が消費税の納税義務者であるならば、一度、目を通しておくことをおすすめします。