ときには端末を手放し、「情報断食」を
「情報」にふりまわされず「リアル」な時間を意識的に楽しむ
たとえば、スマホやタブレット端末を持たずに半日過ごしてみる。いつもなら、ステキな場所に立ち寄れば、すぐに写真を撮り、サイトにアップしたくなってしまうところですが、ときには「取材」を忘れて、見るもの聞くものをリアルに味わってみましょう。
日常の中でも、情報ツールに触れない時間を意識的につくってみる。たとえば、家族だんらんの時間にはスマホはいじらない。寝室にスマホは持ちこまない。こうして、意識的にSNSから離れる時間を持てば、しだいに「つながり依存」になっていた自分に気付き、「画面」がなくても楽しく過ごせることに気付くのではないでしょうか。
つながり依存から卒業するための「友断ち」
「友断ち」しても、充実した時間を過ごせますか?
友情は人生を豊かにしてくれるもの。一方で、距離が近づきすぎてしまうと、不要な競争心やジェラシーに駆られたり、すぐに返事をもらえないと不安になったり、プライバシーに介入されすぎて、息苦しくなったり――こうしたストレスも生まれてきます。
そもそも、心が健康に発達していれば、友だちとの同調的なつながりに安心感を覚えるのは、思春期の頃までです。思春期は、親との親密な関係から卒業し、その代わりに対等な「友だち」との関係の中に居場所を築き、仲間と承認しあうことで、「社会で生きていける自信」を身につける時期。だからこそ、思春期の若者たちは、いつも同じ仲間とつるんで行動したがります。
しかし、10代も半ばになれば、そうした関係からも卒業し、アイデンティティの確立に目覚めるようになります。友だちとの個性の違いを意識し、それぞれの違いを語り合うことで、自分らしい生き方を探し始めるようになります。このアイデンティティ形成のステップが、他人に振りまわされない、自分らしい人生を築くための大切な礎になっていくのです。
「友断ち」から目指すほどよい大人の友情
「友断ち」の時間が自分に向き合うきっかけをくれる
「友断ち」の期間は、思春期的なコミュニケーションから離れられない人が、自分と向き合うための大切な時間になります。
まずは1週間からでもいいので、SNSをやめ、1人で過ごしてみましょう。そうした時間の中で、自分と向き合ってみれば、友だちとの浅薄な言葉のやりとりの中で見失っていた、自分のやりたいこと、行きたい方向性が分かってくるかもしれません。
「友断ち」は、一時的に友だちから距離を置くことであり、友情を永遠に“切る”ことではありません。自分のアイデンティティを見つめ直し、友だちがいなくても充実して生活できる自分を目指すことなのです。
友だちは、自分の人生を豊かにしてくれますが、近づきすぎると振り回されてしまいます。自分のアイデンティティを自覚し、自他の違いを尊重できたときに、大人としての節度のある、ほどよい付き合い方ができるようになるもの。そのためにも、関係に煩わしさを感じたら、一度「友断ち」の時間を持つことが大切なのです。