パン/パン屋さん取材レポート(東日本)

パーラー江古田【江古田】(3ページ目)

江古田の町に根ざしたパン屋さんのひとつのスタイル、パーラー。パンを買いに行く、サンドイッチを食べに行く、という大義名分のもと、出かけていくわけですが、そこにはパンとともに、会話を楽しむ空間があるのでした。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド


パーラーとは何か

「パーラー」というレトロな響きが気になります。古いフランス語で「話をするところ」という意味がありますが、原田さんが好きな沖縄の飲食店の屋号に多いのだそうです。地元の人が老若男女問わず、それぞれ気ままに過ごす場所。

ずっとそんな場所を作りたいと思っていた原田さんは、イタリアに行った時にバールの文化を知り、「ぼくがやりたいと思ったパーラーはイタリアではバールなんだ」と感じます。お客さんがその店になにを求めてきているのかが同じだった、と。
イタリアのバールみたいな空気

イタリアのバールみたいな空気


沖縄のパーラーとイタリアのバールと、お客さんたちはなにを求めてそこへ行くのでしょうか?

「井戸端会議ですよ」原田さんは言います。「井戸に水を汲みに行く、という大義名分があって、でもそこでいろいろな人と会って、おしゃべりをするんです。それが文化だと思うんです。だから、皆がきてくれるためには井戸の水がないと駄目です。うちでは、それはパンを含めたおいしい食べもののことです」
チャバタ

チャバタ


ちょうど、イタリアンバールがあちこちに上陸した2006年、パーラー江古田もオープンします。でも、外国の外食文化の箱だけを持ってきても仕方ない。原田さんがこの地につくりたかったのは、箱ではなくて沖縄のパーラーあるいはイタリアのバールの文化のほうでした。
キッシュやブリオッシュ、タルトもある

キッシュやブリオッシュ、タルトもある


小さな店のなかで、原田さんはひとりひとりに目を配り、声をかけます。お客さん同士の会話もパーラーの空間では共有されることがあります。
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