ここからが本当の正念場

パズル&ドラゴンズの図

パズル&ドラゴンズの成功が、業界の流れに大きな変化をもたらしました。(イラスト 橋本モチチ)

さて、当然路線変更を迫られるGREEですが、今後の挽回策として「選択と集中」という言葉を掲げています。タイトル数を絞り、少数精鋭でコストをカットしつつヒットを目指すという方針です。

実際、既にタイトルの絞り込みは始まっていまして、2013年6月期第4四半期の決算では実に52本にも及ぶゲームタイトルの資産減損処理を行っています。要は、開発中のタイトルの開発中止や運営中のサービスの運営中止を行って、一時的に損を出しながらコストをカットしていく作戦です。その他、海外拠点やメッセンジャー事業も整理して、合計で67億円の損失を計上しています。直近の第4四半期で赤字に転落した直接的な理由はここにあります。

しかし、依然状況は苦しいままです。というより、これからさらに環境は厳しくなっていくと考えた方が良いかもしれません。

1つには、1タイトルあたりの開発費高騰が挙げられます。スマートフォンへの移行が進むことで、ハードウェアのスペックが劇的に向上し、それに見合うゲームを作る必要が出てきます。フィーチャーフォン向けのゲームは非常に開発費が低いことが有利に働いていましたが、今後は各社しのぎを削る中で、さらに開発コストが増大していくことが予想されます。

もう1つは、サードパーティーがソーシャルプラットフォームから離れていく傾向が挙げられます。フィーチャーフォンでは、GREEやモバゲーなどのソーシャルプラットフォームと協力してユーザーを囲い込むことがセオリーでした。しかしスマートフォンでは、ソーシャルプラットフォームを利用せずにリリースしたガンホー・オンライン・エンターテイメントのパズル&ドラゴンズが大ヒットし、状況が一変します。

そもそもスマートフォンにゲームアプリをリリースする際、それまでGREEなどのソーシャルプラットフォームに払っていた手数料の他に、App Storeを運営するアップルなどのアプリ配信サービス運営者に対しても手数料が発生するため、メーカーは頭を悩ませていたところでした。ソーシャルプラットフォームを利用せずにヒットが生まれるのであれば、メーカーはその分GREEなどへの手数料が必要なくなるため、非常に都合が良いのです。

ガラケーという言葉が象徴するような、日本独特の携帯電話文化の中でGREEは大きく成長してきました。その携帯電話文化の終わりと共に、GREEが続けていた猛スピードの拡大にもブレーキがかかりました。あまりに勢いをつけて加速していたため、止まりきれず、利益は半減してしまいました。コストを削減し、コンテンツを絞り込み、再スタートを切らなければいけません。

激化するモバイル端末向けゲーム市場の中で、プラットフォームホルダーとして、ゲームメーカーとして、GREEの地力が試されることになりそうです。

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