こじらせる前にできること
同じ環境下で、風邪をひく人とひかない人の違いは何でしょう。中国では、抵抗力の差によるものと考えられ、免疫力をアップさせて風邪をひかないように日常の中で小さな工夫をしています。その小さな工夫は、難しいことでも面倒なことでもありません。私たちも今日から取り入れられる簡単なことばかりです。風邪は万病の元といわれるように、たかが風邪でもこじらせると苦しい思いをすることになってしまいます。風邪のひきはじめなど、薬は飲みたくないけれど何とかしておきたいという時におすすめのレシピをご紹介いたします。また、疲労や睡眠不足などが重なると免疫力がダウンして体調を崩しやすくなってしまいます。栄養ドリンクなどよりも気軽に取り入れやすい毎日の飲み物にちょっとだけ工夫をして、元気をチャージしておきましょう。
「体調を整えるコツ」でもお伝えしたように、中国の家庭ではちょっと体調が悪い時には、当たり前のようにいつものお茶にその時に役立ちそうな素材をお茶に加えて飲んでいます。病院に行く、市販薬を飲む、栄養ドリンクを飲む、などの前に気軽にできる生活の知恵のようなもの。
漢方や薬膳というと、難しくて面倒、苦くて飲みにくいものというイメージがありますが、実際はそうではありません。そして、今回ご紹介するのは、手に入れやすい素材を使って、どなたでも気軽に取り入れられる簡単なものばかりです。さっそく体調リセットのためのティータイムを楽しんでみましょう。
役立つ素材
緑茶には、カテキンやビタミンCが含まれており、プーアル茶や紅茶は体をあたためてくれます。紅茶に含まれるカテキン類にも、ウイルスの活性を抑えてくれる作用があるとされています。イライラを鎮めリラックスさせてくれる陳皮(ちんぴ)を加えたり、発熱、悪寒、喉の痛みを和らげる作用があるとされる菊花(きっか)を加えるのもおすすめです。金蓮花(きんれんか)は、中国では風邪のひきはじめによく飲まれている花茶で、お湯を注いでそのままいただく他、お好きなお茶にブレンドしてもおいしくいただくことができます。緑茶や白茶は体の中の余分な熱を除去したいときに、全発酵の紅茶は体を温めたいときによく飲まれています。特に「てんこう」と呼ばれる雲南紅茶は、茶葉に含まれるポリフェノール類やアルカロイドの量が中国産茶葉の一番多いともいわれ、高い抗菌作用が期待されています。
また、急な発熱などによく飲まれているのが「白毫銀針(はくごうぎんしん)」という白茶。白茶は、摘んだ葉を揉捻せずに自然に萎れされてから微発酵させたお茶です。ポリフェノール、ビタミン、ミネラルなどを豊富に含み、抗菌作用とともに体内の熱を除去する作用を期待して、中国では子供の解熱剤として使っている家庭もあります。
茶葉には量に差はあるもののカフェインが含まれています。しかし、コーヒーとの大きな違いは、お茶にはカフェインの作用を抑制して穏やかにしてくれるテアニンも含まれているということ。覚醒作用のイメージばかりが強調されやすいカフェインですが、疲れやイライラなどを解消し、疲労回復にも一役かってくれる大切な成分のひとつでもあります。
ミルクをブレンドすると牛乳がもつ鎮静作用の働きかけによってリラックス効果が高まります。紅茶をミルクティーにすると、抗菌作用は弱まってしまいますが、お休み前のリラックスにはプラス1に牛乳をチョイスするのもいいでしょう。
簡単レシピ
- 緑茶+菊花茶
- 緑茶+牛乳
- 緑茶+ミントの葉
- プーアル茶+牛乳
- プーアル茶+菊花
- てんこう(雲南紅茶)
- 紅茶+生姜
- お好きなお茶+金蓮花
- お好きなお茶+陳皮
※お好きなお茶は、緑茶、ウーロン茶、プーアル茶、紅茶など何でもOK
習慣にしたいお茶うがい
緑茶や紅茶でうがいをするのも効果的。お茶処の小学校では、インフルエンザ予防にお茶うがいを導入している例もあります。風邪のウイルスや雑菌などが喉から体内に入り込むのをうがいで防ぎましょう。緑茶に含まれるカテキンの一種であるエピガロカテキンガレートという成分、紅茶に含まれる紅茶ポリフェノール成分であるテアフラビンなどが力になってくれます。カテキンのもつ抗ウイルス作用を上手に利用しましょう。感染を阻止する茶抽出物として、エピガロカテキンガレート、テアフラビンジガレートなどが挙げられます。ヒトインフルエンザA・Bの粒子表面に存在する糖タンパク質と結合して感染を阻止したり、喉の痛み、鼻水、咳の症状を短期間で抑制することも研究で明らかになっています。
うがい薬をわざわざ購入する前に、手元にあるお茶でうがいをしてみましょう。とはいえ、もちろんお茶うがいだけで100%防ぐことはできません。予防の一つとして、日々の習慣にしておきたいものです。
お茶うがいで注意したいこと
- お茶の抽出には熱湯を使う(水でうすめて温度を下げてから使用します)
- ミルクを混ぜない(ミルクは有効成分の働きを阻害してしまいます)
- 2煎目くらいまでのお茶を使う(煎を重ねるごとに有効成分は減っていきます)
- 作り置きはしない(時間がたつと成分が劣化してしまいます)