税金/サラリーマンの税金

サラリーマンが陥りやすい罠…節税のつもりが脱税に!?(2ページ目)

所得税が課税される際、収入金額から必要経費を差し引いて所得をもとめるのが基本です。しかし、給与所得者の場合、給与所得控除額という必要経費が法定されているので、必要経費を積み上げる節税手法には限界があります。節税のつもりが脱税とみなされるケースも含めて、サラリーマンが賢く節税するためのポイントを解説します。

田中 卓也

執筆者:田中 卓也

税金ガイド

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税制改正がサラリーマンの節税の追い風に

ただし、平成24年度税制改正によって、平成25年から給与特定支出控除の範囲が拡充され、計算方法の見直しがされているので、サラリーマンの必要経費の選択肢が増えました。ポイントは以下の2つです。

●ポイント1: 給与特定支出控除の範囲拡充
給与特定支出控除の内容に、従来から職務の遂行に直接必要な資格取得費は入っていましたが、弁護士・公認会計士・税理士・弁理士といった一定の資格は除かれていたのです。ところが、税制改正により、弁護士・公認会計士・税理士・弁理士といった一定の資格取得費用でも認められることなりました。

もう1点は、勤務必要経費の創設です。内容は、
  • 職務と関連のある書籍・定期刊行物その他の図書で職務に関連するもの、
  • 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服の購入費
  • 職務と関連のある交際費・接待費その他の費用
で、年間合計65万円までは勤務必要経費として認められるというものです。

●ポイント2: 給与特定支出控除の計算方法の見直し
ただし、これらの費用があったからといって、ただちに、給与所得控除額に加算できるのではありません。
  • 給与の年収が1500万円以下の場合: 従来の給与所得控除の1/2に相当する金額
  • 給与の年収が1500万円超の場合: 125万円 
を超えていた場合に、サラリーマンの必要経費が加算されることとなります。従来は、給与所得控除額全額より給与特定支出控除額が大きかった場合に、その超えていた部分が加算されていたので、金額的ハードルは1/2に引き下げられました(画像参照)。
給与特定支出控除改正のイメージ図(出典:国税庁資料より)

給与特定支出控除改正のイメージ図(国税庁資料より)

給与特定支出控除の適用を受けるためには確定申告をしなければならず、給与等の支払者の証明書を添付する必要があります。また、確定申告書の提出にあたっては、特定支出に係るその支出の事実及びその金額を証する書類(領収書等)の添付または提示が必要です。

給与特定支出控除の範囲拡充と計算方法の見直しがなされたものの、まだまだ今後、運用面での見直しを期待したいポイントです。

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