若者の成長や青春を描いた新感覚の西部劇「男の出発」

70年代という時代を感じさせる西部劇の佳作

■作品名
「男の出発（だびだち）」(72)
■監督
ディック・リチャーズ
■主演
ゲーリー・グライムズ、ビリー・グリーン・ブッシュ
■DVD発売元
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


1970年代に入ると、もはや西部劇の時代は去っていましたが、この映画や『さすらいのカウボーイ』(71)のように新感覚で作られた西部劇の佳作が何本か生まれました。

この映画のストーリーは、16歳の少年ベンがカウボーイを志願し、“カルペッパーさんのキャトル・カンパニー”(これが映画の原題)の一員となるのですが、やがてカウボーイとしての生活や銃のむなしさに気付いて母のもとへ戻るというもの。

西部劇というよりも若者の成長物語や青春映画の趣があります。

ベンを演じたのは『おもいでの夏』(71)のゲーリー・グライムズ。彼には“永遠の少年”というイメージがありますね。

監督は元写真家のディック・リチャーズでこれがデビュー作。
逆光を活用した撮影が見どころです。

ビリー・グリーン・ブッシュ、ジェフリー・ルイス、ルーク・アスキュー、ボー・ホプキンスなど70年代に活躍した脇役たちも顔を見せます。
そうした点からも、70年代という時代を感じさせる西部劇になっています。