戦争悪や戦争の愚かさをしっかりといた圧巻の作品
『戦争のはらわた』(1975)
■監督 サム・ペキンパー
■主演
ジェームズ・コバーン、マクシミリアン・シェル、ジェームズ・メイソン
■DVD/Blu-ray発売元
ジェネオン・ユニバーサル
ヒトラーから送られる最高の名誉とされた「鉄十字章」を巡る、名誉欲に取り付かれた男と、欲などなんとも思わない軍人との確執。
そして、激烈な戦いと人間の残酷さをえぐり取ったような力作です。
第二次世界大戦中、ドイツの敗色が見え始めた1943年。
最前線を守るプラント大佐(ジェームズ・メイソン)達は生き延びるために戦う日々を送っている。
そこに中隊長として派遣された、実戦経験のないストランスキー大尉(マクシミリアン・シェル)はヒトラーから送られる「鉄十字章」を得る栄誉に執念を抱いている。
彼は連隊一戦闘能力の高いスタイナー伍長(ジェームズ・コバーン)を戦力にするために進級させるが、彼はなんとも思わない。
そしてスタイナーは重症を負って入院。欲しくもない「鉄十字章」を送られる。
俺のおかげでそれが送られたのだと執着するストランスキー大尉は、彼を殺そうと最前線に送り込む……
「鉄十字章」や昇進などを何とも思わない媚びない伍長役に、ジェームズ・コバーンがまさに適役。
実戦経験もないのに名誉だけに執着するストランスキー大尉に、これが本当の戦いだと見せつけるラストは、鮮烈で爽快感すら感じます。
戦闘の映像はまさに圧巻で、「戦争」とはきれいごとでも何でもない!という、戦争悪や愚かさなどがしっかりと描かれていて、サム・ペキンパー監督らしい映画になっています。