「遮光ネット」や「寒冷紗」植物への夏の日差しを和らげる
遮光ネットや寒冷紗は、夏の日差しを和らげてくれる
でもラベルに書かれた商品説明を見ると、どれもその用途に遮光や遮温、防霜、防風など、同じようなことが書かれています。これらの資材、いったい何が違うのでしょう?
今回はこの辺にも注目ながら、夏の強い日差しを和らげてくれる被覆資材、遮光ネットと寒冷紗について解説します。
遮光ネットとは
一般的なラッセル織りの黒い遮光ネット
ネットの編み方はメーカー独自のものを採用している製品もありますが、一般的なものでは遮光率の高い「平織り」、網目のズレや切り口のほつれがない「ラッセル織り」、前者二つの長所を兼ね備えた「絡み織り」といった種類があります。
織り方の違いだけでなく、高い遮光率でも明るさは保つものや遮熱性を強化したものなど、様々な改良が施された製品も出てきています。これらの改良品は、普及品に比べると少し割高になります。
また遮光ネットは、近年の酷暑・猛暑により、園芸資材としてだけでなく窓辺の日除けとしても注目されています。
寒冷紗とは
一般的な白の寒冷紗
近年はビニロンやナイロンなど化学繊維を用いたものも多くなりましたが、夏は強光・高温・乾燥を防ぐのに、冬は防霜・防寒に、また防虫・防風など、古くから多目的に利用されてきた被覆資材になります。
園芸用としては白色と黒色が一般的で、黒色のものには遮熱効果もあります。また遮光率は、目の詰まり具合でも変わりますが、白よりも黒が高くなっているものが多いです。
遮光ネットなどで植物を日差しから守る
夏の強光から植物を守るには、一般的で安価な黒の遮光ネットを用います。ただし、あまり遮光率の高いものを使用すると、植物の生育に必要な光まで失われてしまいます。環境にもよりますが、草花では遮光率40~60パーセントくらいのものでよいでしょう。観葉植物も種類や環境により異なりますが、戸外で管理する場合は遮光60~80パーセントくらいのものを使います。
下の画像は、戸外に置いたゼラニウムの鉢に、遮光率60パーセントの遮光ネットをかけた場合の比較です。かなり日差しが和らいだのが、おわかりいただけると思います。
遮光ネットなどで菜園の作物を守る
ラメ糸が織り込まれた防虫ネット
防虫には、トンネル支柱などを使って寒冷紗を掛ける方法もありますが、トンネル内部に熱がこもってしまうので注意が必要です。夏場は通気性の高い「防虫ネット」がよいでしょう。虫が嫌うというキラキラ光る糸を織り込んだものや、遮光性のある製品もあります。
冬の霜よけ、防寒などには、遮光率の低い白の寒冷紗を使います。保温資材としては、不織布も適しています。
遮光ネットなどで窓辺の日差しを遮る
こちらでは、すだれと緑のカーテンのWで遮光
ただし、遮光率が高くなるとその分部屋の中は暗くなってしまうという点は、頭に入れておきましょう。その辺りを克服した商品も出回っていますが、先に述べたように割高になってしまうので予算との兼ね合いに応じて選びます。
設置のポイントとしては、対象物(この場合は窓など)から少し離して掛けることです。ピッタリくっつけてしまうと通風も遮られますし、ネットに当たった熱が伝わってしまいます。
設置しやすいようにハトメのついたものを軒から下げたり、グリーンカーテン用の支柱資材も利用できます。園芸用遮光ネットは軽いので、風で煽られたり飛ばされたりしないように、しっかり固定しましょう。
補足・不織布について
不織布とは、繊維を織らずに絡み合わせ、熱や化学処理でシート状にしたものです。日用品としては、マスクや様々なフィルター製品などに使われています。園芸用としては、菜園のベタ掛けシートなど防寒、防霜の目的で使われます。寒冷紗より保温性は高いですが、耐久性は劣ります。また、遮光性は弱く、製品には遮光率ではなく、透過率(どれだけ光を通すか)で書かれていることが多いです。
適度な遮光率は試行錯誤も大切!
遮光率は植物の種類や環境に合わせて
かつて寒冷紗が担ってきた役割が、時を経て遮光ネットや不織布、さらに機能性を持たせた新しい被覆資材へと徐々に移行しているようです。
さて、最後に遮光についてですが、自分の庭やベランダ、菜園などでどの程度の遮光率のものが適しているかは、各々の環境が異なるため実践して探っていくしかありません。資材を扱い慣れている農家さんでさえも、せっかくネットを張ったのに遮光率が高すぎたとか、予想より遮光率が低すぎたので二重掛けにした……など試行錯誤をしているのです。
まだまだ暑い日が続きそうです。日々の観察で、最適な資材を探り出していきましょう。
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