ナミブ砂海の誕生 1. 西岸砂漠の成り立ち
デッドフレイとソススフレイ。デューンの稜線にポツリポツリと見える点が人。その大きさがよくわかる
赤いデューンに刻まれた幻想的な風紋 ©牧哲雄
この乾燥した冷たい空気が偏西風によってアフリカ大陸に運ばれて、雨の降らない超乾燥地帯が誕生した。場所によって異なるが、砂漠地帯については年間降水量20~50mm。ちなみに東京は1500mmだ。
海流と偏西風の動きは世界のどこに行っても変わらないので、大陸西岸にはペルーのアタカマ砂漠のように乾燥地帯が多い。ナミブ砂海は典型的な西岸砂漠なのだ。
そして寒流の上空を流れる空気は時折飽和状態にまで冷やされる。その結果生まれるのが濃霧だ。ナミブ砂漠は雨が少ない代わりにしばしば濃霧が発生するため、先述したウェルウィッチアやサカダチゴミムシダマシのように、多くの動植物が霧から水を摂取するために特殊な能力を手に入れた。
ナミブ砂海の誕生 2. デューンの誕生
なんとも艶めかしいデューンの曲線 ©牧哲雄
風紋が風の強さや向きに合わせて形を変えるように、デューンも偏西風に飛ばされてその姿を変え、少しずつ少しずつ東へ移動している。そしてデューンはやがて拡散し、カラハリ砂漠の広大な大地へ飛び去り消えて行く。
木々が立ち枯れたデスフレイの奇観 ©牧哲雄
2013年の世界遺産委員会で、ナミブ砂海の卓越した自然美、数千万年の歴史を記録した地形、超乾燥地帯と濃霧という他に類を見ない生態系、そこに暮らす多彩な生物多様性が認められ、4つの自然遺産登録基準をすべて満たすものと認められた。世界遺産約千件のうち、同様の世界遺産は21件しか存在しない。
[関連記事]