VW(フォルクスワーゲン)/ゴルフ

新型ゴルフは今年ナンバー1の衝撃(3ページ目)

カローラに次ぐ世界のベストセラーカー、ゴルフがフルモデルチェンジを果たし、いよいよ日本の道を走りはじめた。フルモデルチェンジと呼ぶにふさわしい内容の7代目、300万円以下の実用車で、今年、ナンバー1の衝撃だ。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド


「買って良かった」と思える、誰にでもオススメしたい1台

VWゴルフ

最高出力105ps/最大トルク175Nmを発生する1.2L直噴ターボと、140ps/250Nmの1.4L直噴ターボを搭載。1.4LにはVW初の気筒休止システムを採用する

さて。高い前評判を聞かされていた。こんな場合、期待値が上がり過ぎてしまって、いざ日本で乗ってみれば、確かにいいけれど、言われるほどには感動せず、なんて場合も多いもの。それでもゴルフの場合は、ポロ、そしてup! と、このところ凄まじい完成度をみせてきたVW車ゆえ、よもやそんなこともないだろう。そう落ち着いて乗り込んでみれば、そんな安心と期待をさらに大いに上回る完成度の高さに、感動を通り越して、驚嘆してしまった。

取材車両は、最上級仕様のハイラインで、正直に言って、クロームのあしらいも多く、けれんみもタップリ、頑張っちゃったね、というインテリアで、見栄え質感こそ確かに高いけれども、やっぱり何だか国産車に収まった様な気分になった。

老舗の居酒屋だと聞いてきたのに、入ったみたらダイニングバー見たいにモダンでがっかり、味はいいのに……、そんな感じだ。

そう、味は最高だ。ステアリングホイールの触感にはじまり、ペダル類の操作フィール、それらに対するクルマの反応がいちいち全て“高級”である。最初はフワッと優しく、そのあとシャキッと位置を決めたと思ったら、残りの行程をトロッといなす。一連の動きに、見事な一体感があって、とても気分がいい。

決して面白いクルマではないし、ワクワクもしないのだけれども、完成度の高さそのものを楽しめてしまう、とでも言おうか。
VWゴルフ

アイドリングストップ機構やエネルギー回生システムも備え、JC08モード燃費は1.2Lが21km/l、1.4Lが19.9km/lとされた

乗り心地と静粛性に驚いたあとは、軽快なパワートレインに感心する番だ。オールアルミ製エンジンは、効率化重視の実用車らしからぬ心地よいサウンドを発して、十分なトルクを前輪に伝える。加速フィールは速さも申し分なく、しかも、車両全体にバランスよく力を配分しているような感覚をドライバーに与えてくれる。

高速安定性も、抜群だ。あえていうと、日本の常用高速域でやや、電動パワーステアリングに違和感をもつが、それ以外は、完璧。クラウンで長距離ドライブは御免こうむりたいけれども、ゴルフとなら、どこまででも旅を共にできそうである。これはもう、育った環境が違うと言う他ない。

ゆっくり走っていても、豊かな気分になれる。短い移動距離の質が、ぐっと高まっていく。買って良かった、と言う気分になる。誰にでもオススメしたい。恨まれることは、絶対にないと思う、今のところ数少ないモデルだ。

とりわけ、300万円以下の実用車では、今年、ナンバー1の衝撃である。
VWゴルフ

新プラットフォーム戦略(MQB)のもと全面刷新、旧型比20~50kgの軽量化により走りと環境性能を高めた

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