フルモデルチェンジに相応しい内容
サザンオールスターズをTVCFに起用。その価格戦略と完成度の高さとがあいまって、新型ゴルフは今、ギョーカイの寵児となった。そこには、VWによる自らの“ガイシャ”イメージ払拭という大胆な戦略も見え隠れする。現行ポロ以来、VWは確実に、ガイシャに対する心理的な垣根を低めてきた。日本車になりたいのだ、フォルクスワーゲンは。
筆者はその昔、VWゴルフ2に乗っていたけれども、あの時代(90年代)はまだ、大阪では駐車場に“ガイシャお断り”と平気で記されていた。
右ハン・ゴルフのどこがガイシャなんだよ! と憤りを覚えつつも、特別なクルマに乗っているという自意識もどこか満たされていて、長らく輸入車ブランドはそんなユーザーの気持ちの隙をニッチに狙ってきただけ、なのだろう。
その結果、いまだ、一割にも満たない純輸入車市場という体たらく。もちろん、国産メーカーが沢山あって、規制障壁の類がゴマンとあることは、百も承知。けれども、他人の変節が頼りというのでは、いつまでたってもラチがあかない。与えられた環境と能力のなかで、垣根を超えてみようじゃないか。ここ数年来のVWには、そんな、姿勢が伺える。
カローラに次ぐ世界のベストセラーカー、ゴルフがフルモデルチェンジを果たし、いよいよ日本の道を走りはじめた。74年にデビューした初代から数えて、最新モデルは第7世代である。第6世代と第5世代の間では、デザイン以外にこれといった大きな技術的チャレンジがなかった。そのぶん、今回はプラットフォームを含め、フルモデルチェンジ=全刷新と呼ぶにふさわしい内容となった。
つまり、旧型とはまるで違うクルマ、である。