北米のプレミアムSUV市場に向けて日欧の自動車メーカーから高級高性能SUVが続々とリリースされている。7月から日本にも輸入されるようになったVWトゥアレグも、そういったプレミアムSUVである。

クルマに詳しい人ならば知っての通り、トゥアレグはポルシェのカイエンと実質的な姉妹車である。VWとポルシェの共同企画ならば、それだけでもただ者ではないぞ、と期待が高まって当然だ。

搭載エンジンはVW/アウディ系のV6とV8、V10TDI(直噴ターボディーゼル)がラインナップされている。ただし、日本向けは3.2LのV6と4.2LのV8の2モデル。V10TDIが輸入されないのは何とも残念てある。最高出力はV6と同じ220psながら76.5kg-mという化け物じみた最大トルクを発生する。この強烈なトルクはディーゼルとはいえ200km/h以上で悠々と巡航する性能を実現している。

とはいえ、日本で200km/hオーバーの巡航など、およそ非現実的なのだが、日本仕様だからといって生ぬるくはない。アウトバーンがなくても、アウトバーンのポテンシャルがトゥアレグの走りの真骨頂。2tをゆうに超える車重をものともしない加速性能。ロールを引き締め、どこまでも路面を捉え続けるようなフットワーク。SUVでもここまでやらなければならないのか、とその本気ぶりには驚かされる。

高級高性能といっても、上品ぶった走りではない。全開加速ではけっこうエキサイティングなエンジンフィールが楽しめる。高級セダンよりもスポーツカーのV8なのだ。ただ、神経を逆撫でするような騒音や振動はV6車でも皆無。運転する手応えを楽しむ以上の演出はない。

そんな調子なので、ワインディングも勇ましく走りがち。冷静になると2t以上もある、重心の高いクルマで、こんなに激しく加減速していいものか、と思うのだが、出来してしまうのだから仕方ない。減速からステアリングを切り込んでいけば、操舵初期から滑らかに回頭する。SUVながら回頭感に緩みとか逃げが非常に少ない。前輪が突っ張っているわけでもなく、その証拠にタイトターンで意図的に急な操舵を行っても、前輪のグリップが突然抜けたりしない。ストロークがうまく受け止めてくれるのだ。

定常円旋回に入ると、ちょっとの加減速や路面のうねりくらいでは方向性もラインも乱れない。大型SUVのくせに、こんなにボディが揺らがないのは不思議なくらいだ。

それだけロールを締め上げ、高い減衰力設定になっているのだが、標準サスのV6車ではこの硬さが少々しんどく思える。ゴツゴツとかどこどことした振動はないのだが、もっとルーズに走りたくなる。

この案配がいいのがV8車である。電子制御エアサスのおかげなのだが、揺るぎないコーナリング性能をそのままに、穏やかさを与えている。乗り心地でもハンドリングでも、適度にドライバーや乗員を甘やかしてくれる。もし、甘やかしが嫌いならばスポーツを選択すればいい。相当ピリッとした走りができる。まぁ、個人的にはコンフォート入れっ放しでベストだと思っているが・・。