VW(フォルクスワーゲン)/トゥアレグ

VWトゥアレグ試乗記 アウトバーンSUVトゥアレグ(2ページ目)

アウトバーンを200km/h以上でクルーズするSUV。それがトゥアレグだ。SUVらしからぬ高速性能とドライビングの手応えを実現しながら、本格オフローダーも凌ぐ極限踏破性を実現している。

執筆者:川島 茂夫

オフロード屋さんならば、こんなに脚を締め上げたら踏破性が問題、と思うところだが、トゥアレグはガレ場を走らせても凄いのである。

沈み込みストロークもロールも締め上げているので、段差やうねりをなぞるようなトレース性は失われている。激しいモーグルならばいずれかの車輪がちょくちょく浮き上がる。しかし、スタックはしない。完全にコントロールされたアクティブ制御4WDは浮き上がったタイヤを空転させるような野暮はしないのだ。しかも、微妙なペダルワークが必要な急勾配も、登坂制御や降坂制御で半ば自動的に走れてしまう。素人さん立ち入り禁止レベルのハードなクロカンステージも難なくクリアする。走ってきた後を振り返れば、しみじみと「トゥアレグ」って凄いと思える。

ただし、電子制御駆動システムの力業といった印象もある。際立つ踏破性だが、乗員にはかなりストレスが掛かる。締め上げたサスのため、乗り越えなどの激しい動きをあまり吸収してくれない。激しい場所を走れば、乗員も激しく揺さぶられるのだ。際立つ踏破性は、あくまでもサバイバビリティの向上が目的。オフロードやラフロードをツーリングするための性能ではないのだ。

マニアックなオフローダーがロールをゆるゆるにするのはそれなりの理由があるわけで、超高速クルージングとは相容れないのも当然。トゥアレグは超高速域まで安心して走れる性能を選んだだけ。それでも、ハードクロカン以上の踏破性を保証しているのはVWの良心なのだろう。

多くのSUVユーザーにとって極限踏破性を必要とする状況はほとんどない。だからこそオンロード性能を徹底的に磨き上げることが重要。しかし、オンロード性能だけならばSUVを選ぶ必要はない。このジレンマを解いたのがトゥアレグなのだ。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます