平成25年分から給与所得控除額は245万円上限

節税対策

会社が支給する給与を分散することにより、トータルでの税金を抑えることができる

給与所得の金額は、原則、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とされており、給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じた一定の算式により計算することとされています。

しかしながら、平成24年税制改正において、これまで青天井で設けられていた給与所得控除額について、上限が設けられました。給与等の収入金額が1,500万円を超える場合の給与所得控除額について、245万円の定額とすることとされました。

「給与等の収入金額が1,500万円」というのが一つのボーダーラインとなりますが、月収でいうと125万円です。上場企業の役員のような高額所得者だけに影響がある改正ではなく、中小企業の役員にも大きく影響のある改正なのです。

どれぐらい影響があるかというと、年収2,400万円の場合で、これまでの給与所得控除額は290万円ですが、平成25年からは245万円となり、その差額が290万円-245万円=45万円です。税率を約40%とすると、45万円×40%=18万円の増税になります。

家族役員に給与を支給しよう

中小企業の場合、税引き前利益と役員給与額は深く関わっています。また、家族経営の会社の場合、個人の税金と会社の税金のトータルで、節税を検討されるパターンもあるでしょう。

そこで、家族が役員として働いている会社の場合、社長だけに多額の給与を支給せずに、その家族役員にその業務に相当する社会通念上妥当な金額を給与として支給します。というのも、日本の所得税は超過累進課税方式を採用しているため、所得が高い人ほど税率が高くなる仕組みだからです。

社長の給与の一部を家族役員の給与とすることで、会社が支給する役員給与総額は変わりませんが、所得分散が図ることができ、先ほどの個人と会社のトータルで税金を抑えることができることもあります(社会保険料は税金ではありませんが、考慮する必要があります)。

ただし、あくまでも家族役員の業務内容・勤務形態等を考慮して、役員給与額を決定すべきであることは言うまでもありません。安易な給与の付替えのようなことは、税務調査において否認の対象となりますので、慎重に判断願います。

家族は使用人の立場のまま給与を支給しよう

法人税法上の役員の範囲は、株主総会等により選任され登記されている役員だけではなく、広く規定されています。法人税法上の役員には、登記されてなくても、実質的に法人の経営に従事して、その意思決定に大きな影響力を持つと認められる者も含まれます。このような人を「みなし役員」といいます。具体的には次のような人をいいます。

(1)会長、相談役、顧問等のように登記上の役員ではないが、使用人以外の者で実質的に法人の経営に従事している(法人の主要な業務執行の意思決定に参画している)者

(2)同族会社の使用人のうち、同族会社の判定の基礎となった特定の株主グループに属しているなど次の3つの要件の全てに該当している株主でその会社の経営に従事している者

  1. 同族判定の基礎となった所有割合が50%超に達するまでの範囲内の上位第3順位以内の株主グループのいずれかに属していること
  2. 自己の属する株主グループの所有割合が10%を超えていること
  3. 自己の持株割合(配偶者及び所有割合50%超の関係会社を含む)が5%を超えていること

社長が株式を100%所有しているような中小企業はいわゆる同族会社となり、家族使用人がみなし役員となるかどうかは会社の経営に従事しているかどうかがポイントとなります。中小企業で会社の経営に従事しているとは、資金調達を決定したり、雇用や設備投資に決定権があるなどです。単に請求書作成や会計伝票を入力しているだけでは、経営に従事しているとは言えず、みなし役員となりません。

家族が使用人の立場として勤務している場合、他の使用人と同様に税法上損金となる賞与を支給することもでき、柔軟な対応が可能となります。そこで、税務調査において経営に従事していないことを証明できるように、タイムカードや書類等を整えておくことが必要になります。

家族に対して役員として給与を支払う、使用人として給与を支払う、双方ともに支給金額に見合う勤務実態等がない場合には給与として認められませんので、ご注意ください。

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